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【1989年の天安門事件は現在まで禍根を残している】

 1989年6月の中国の天安門事件で、民主化運動を弾圧するため出動した戦車部隊の前に立ちふさがって、戦車の進行を妨げ、逮捕された学生指導者が近く釈放されることが明らかになった。

 この男性は10年前にいったん釈放されていたが、2年前に再び逮捕されていたという。この男性のように、天安門事件当時の民主化活動家はいったん釈放されて再逮捕されるというケースが多い。

 7月下旬に末期ガンで死亡した、ノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏もこのケースで、米議会調査局などによると、中国の政治犯は少なくとも1400人にも上るという。

 香港紙の「蘋果(リンゴ)日報」は、天安門事件で、戦車の前に立ちはだかる姿が世界に配信され注目を浴びたものの、その後の消息が謎に包まれていた男性の名前は「張為民」氏で、天津の刑務所から近く出所するとの友人の証言を報じた。

 この男性については、実名や事件後の消息などが分かったのは初めて。

 張氏は事件後の裁判で無期懲役の判決を受けたが、服役中の態度が良かったことから減刑され、いったんは釈放されたが、民主化運動など非合法活動に関わったことから再逮捕されたという。

 民主化運動活動家は釈放されても、当局にマークされ、24時間態勢で監視されるケースが多く、かつての活動家仲間との会合に参加しただけで、再逮捕という事例が報告されている。

 劉暁波氏が死亡した後、すぐに天安門事件当時の学生運動指導者で、当時の指名手配リストに載った馬少方氏(当時は北京映画学院生=現在53歳)も釈放後、故郷の江蘇省揚州市内で逮捕されている。

 このほか、リンゴ日報によると、劉暁波氏の初七日に追悼集会を行ったとして、広東省の民主活動家ら少なくとも5人が当局に拘束されたという。

 一方、昨年10月には、天安門事件最後の政治犯であるとされる苗徳順氏が北京郊外の刑務所から釈放されると報じられ、釈放日当日は多くのメディア関係者や支援者が刑務所前へ集まったものの、苗氏は釈放されなかった。刑務所側は説明を避けている。

 苗氏は天安門事件での逮捕者で唯一釈放されていない。苗氏は獄中で拷問を受け、健康状態が悪いと伝えられており、死亡した可能性もあるという。

 米議会調査局や米国務省の中国や人権担当部局では、いまも天安門事件当時の活動家は当局に24時間態勢で監視され、普通の生活もままならず、仕事もない状況で、貧窮した生活を送っている者が大半だという。

 このため、昔の仲間を頼って会いに行くと、民主化活動の謀議と疑われ、取り調べを受けて、態度が悪いと再逮捕となるケースが多いという。

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