国連安全保障理事会が5日(ニューヨーク時間)、北朝鮮の石炭・鉄・鉄鉱石の輸出を全面禁止するという内容の新たな制裁案を満場一致で採択した。北朝鮮産海産物も初めて全面禁輸の対象に入れられた。

 しかし、最も強力な圧力手段だと言われる中国・ロシアの対北朝鮮原油支援は制裁対象から外された。北朝鮮労働者の海外派遣も全面中止ではなく現状並みの凍結となった。

 韓米両国は「今回の制裁案が忠実に履行されれば10億ドル(約1107億円)前後の現金収入遮断効果がある」と評価した。北朝鮮の輸出額の3分の1に相当する額くらいの効果はあるだろう。米国のニッキー・ヘイリー国連大使は「我々の世代で最も強力な北朝鮮制裁だ」とまで言った。

 しかし、この程度の制裁では、北朝鮮にしばらく不便な思いをさせることはあっても、核とミサイルを持つ決心をした金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の動きをストップさせられると信じる人はもういない。

 昨年の北朝鮮による4回目と5回目の核実験後、国連が採択した制裁決議案第2270号と第2321号の時も韓米両国は「最後の制裁」「史上最強制裁」と言っていた。だが、北朝鮮はびくともせずに大陸間弾道ミサイル(ICBM)保有の一歩手前まで来ている。

 このような事態になってしまったのは、北朝鮮が不安定になることよりも、北朝鮮が存在することの方が自分たちは助かると考える中露が抜け道を作っているからだ。

 第2270号・第2321号決議で「民生用は除く」という例外を設けたことがこうした状況をもたらしている。今回も原油供給は絶てなかったし、労働者派遣も凍結には至らなかった。結局、北朝鮮の挑発行為と実効性が低い国際社会の制裁という堂々巡りが無限に繰り返されているだけだ。

 米中両国は今回の対北朝鮮制裁をめぐって「あわや正面衝突」という事態にまで至ったかと思われたが、結局は中途半端な制裁案に落ち着いた。米国にはがけっぷちまで行くつもりがないし、中国もそれを知っている。両国が合意して北朝鮮の核問題を解決することはないと見なければならない。

 結局、米中両国はある時点で北朝鮮の核問題に関して適宜取引する可能性がある。それが万一、北朝鮮の核問題が凍結という線でとどまり、北朝鮮の核保有を事実上、容認することなら、韓国にとっては災難だ。核武装した北朝鮮に胸ぐらをつかまれたまま、引きずり回されることになるだろう。

 北朝鮮の核・ミサイル問題は南北だけの問題ではなく、国際問題でもある。ところが、今や国際社会にはこの問題を解決する能力がないことがいっそう明白になりつつある。時間がたくさんあるわけでもない。

 韓米両国は6日、フィリピンで行われた外相会談で、韓国が保有できる弾道ミサイルの弾頭の重量を増やす交渉を早期に開始することにした。必要なことだ。しかし、この程度では国民を守れない状況が近づいている。最悪の事態を想定して備えなければならない。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は近く米国のトランプ大統領と電話会談することにしたという。韓米首脳は韓国の生き残りと米国の限界について胸襟を開き、真の対話を開始しなければならない。

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