中国での2017年上半期のスマートフォンは、どんなモデルの人気が高かったのか、関連データがいろいろ出始めたので紹介しよう。

近年は中国のスマートフォン市場でも“国産”の台頭が著しいが、今年上半期はその傾向が一層強まり、さらにファーウェイ(華為)、オッポ(OPPO)、ビーボ(VIVO)、そしてシャオミ(小米)への集約が進んでいる。

調査会社のカウンターポイントによると、今年上半期における中国のスマートフォンの販売台数はファーウェイが20.2%でトップ。以下オッポの18.8%、ビーボの17.0%、シャオミ(小米)の13.0%、アップルの8.2%、サムスンの3.0%と続く。

また、調査会社の賽諾によると、今年上半期における中国の実店舗での販売台数はオッポが3907万台でトップ。以下ビーボの3567万台、ファーウェイの3425万台となっている。

アップルは2083万台の4位で第2グループだ。オッポ、ビーボ、ファーウェイと並んでシャオミが前年上半期比で2桁増を記録したのに対し、アップルは7.6%減、サムスンに至っては65.8%減となっている。

さらに、IT系ポータルサイト最大手の「中関村在線」によると、今年上半期に発売されたスマートフォンは前年の214機種から139機種に減少。また平均価格は前年より300元(約5000円)以上も高い1740元となった。特に3000元(約5万円)以上の高価格帯の機種が21%も増加したという。

同サイト利用者が関心を持っている機種の価格帯は、4000元以上が24%、3000元台が14%、2000元台が39%。

「月収以上」の端末に関心を持っている利用者が43%を占めており、大枚をはたいても高性能なスマートフォンを手に入れたい人が増えている一方で、低価格モデルへの関心が薄れつつあるのが見て取れる。

ちなみに、どの程度のスペックが求められているかについては、中関村在線の利用者の半数以上がオクタコア以上のCPU、5型以上の液晶、4GB以上のメモリー、デュアルレンズのカメラと答えている。

販売数増加の鍵は実店舗にあり

今年の上半期は、オッポが「R11/R11 Plus」を、ビーボが「X9s/X9s Plus」、ファーウェイが「P10/P10 Plus/P10 lite」を市場に投入した。

これらの製品が3強の人気を支えているわけだが、その理由としては、家電量販店やケータイショップなどの実店舗で、必ずと言っていいほど目立つところで扱われている点が挙げられる。いずれもフラッグシップモデルとして、実店舗での販売に力が入っているのだ。

また、シャオミが復活を遂げたのは、「IT界の無印良品」を目指す同社が提案するスマートライフのコンセプトが共感される中、同社製品のコストパフォーマンスの高さが再認識されたということがある。

実際、この6月18日の「ECサイトの日」には「小米6」や「紅米Note4x」などが売れに売れた。加えて、もともと好調だったネットでの販売に加えて実店舗での取り扱いが増えたことも大きく、シャオミは昨年末時点で54店だった専門店「小米之家」を今年は200店まで増やすとしている。

一方、実店舗での販売台数で4位に甘んじたアップルは、店舗数も横ばいだ。今期は、中国人の必須アプリである「微信(WeChat)」のiOS版の一部機能が利用できなくなるという悪い材料も出ており、iPhoneの販売台数がさらに伸び悩む可能性もある。

また、販売台数が激減したサムスンは、ファーウェイ、オッポ、ビーボに比べ明らかに販売店での取り扱いが減った。

その原因としては「Galaxy Note7」の発火問題で評判を下げたことに加え、地上配備型迎撃システム「THAAD」が韓国に配備されたことで反韓感情が悪化したということもあるようだ。

全体としては、製品の機能・性能よりも、オッポ、ビーボ、ファーウェイ、シャオミの実店舗での販売力に、その他メーカーが押され気味という印象を受ける。今後はネットと実店舗を合わせた販売力の強さが中国スマートフォン市場での生き残りの鍵になりそうだ。

http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/1031523/072900047/

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街で見掛ける広告は緑のオッポ、青のビーボ、白のファーウェイばかり