2008年2月、放火によって国宝第1号の崇礼門が消失した。国民の誰もが心を痛めたが、同じように国民を怒らせる事件が今月4日にまたも発生した。

 1400年前に建造された国宝第31号の慶州瞻星台(古代の石塔天文台)に深夜酒に酔った観光客がよじ登り、記念写真を撮っていた。犯人は20代の女子大生3人で、警察は3人を文化財管理法違反容疑で立件した。

 瞻星台は現在、北に205ミリ、西に5ミリほど傾いた状態にあり、また昨年9月の慶州地震では北に38ミリ移動したため、構造の安定性への懸念は以前から指摘されていた。

 今月5日午後に現場を取材したところ、瞻星台の周りは立ち入り禁止を示す柵が2重に設置されていたが、その高さはわずか30センチと大人の膝よりも低く、誰でもその気になればいくらでも近づくことができた。

 3年前まで柵の高さは1メートルあったが、2014年に慶州市が現在の高さにした。理由は観光客などから「写真を撮りにくい」などの不満が相次いだからだ。これについて慶州市の関係者は「観光客を誘致するには避けられない措置だった」と語る。

 瞻星台は奈勿王陵、鶏林などで知られる慶州東部史跡地区の担当者が管理しているが、67万平方メートルの広さに20カ所以上もの遺跡があるにもかかわらず、管理担当の職員はたったの3−4人だ。

 そのため夜10時から翌朝9時までは巡回もできないため、監視カメラを使って警備を行っている。

 町全体が博物館とも言える慶州には330以上の遺跡が残るが、夜間にこれらを守る監視カメラが設置されているのはたったの18カ所(5.4%)だ。このままでは今回と同じような事件が他の場所でも起こりかねない。

 ソウルからやって来たという43歳のある女性観光客は「夜に新羅時代の王の墓に上って滑り台のように遊んでいる若い人たちを見た。文化財管理がこれほどずさんとは知らなかった」と語る。

 これについて慶州市史跡管理課の職員は「今後瞻星台の柵を大人の腰程度にまで高くし、夜には警備員を配備する方向で検討したい」とコメントした。

 文化財庁は国内の文化財管理のため、監視カメラの設置や警備員の配置などの対策を行っている。しかし木造の文化財と瞻星台のような石造りのものとは管理の実態が異なるようだ。

 文化財庁は全国140カ所の木造文化財には現場に3−10人の警備員を配置し、24時間体制で巡回警備を行っている。しかし蔚山市の盤亀台岩刻画(国宝第285号)や川前里刻石(同147号)などを除く石造文化財の多くは警備員がいない。

 これについて文化財庁は「予算が足りないためどうしようもない」とした上で「非正規社員の正社員化、最低賃金引き上げなどの影響で、来年は逆に警備員を減らさねばならない」ともコメントした。

 海外では古代遺跡などの警備は非常に厳重だ。英国のストーンヘンジは季節によって多少の違いはあるが、基本的に午後5−8時までしか入場できない。夜の見学には予約が必要で、通常は厳重な警備が行われている。

 エジプトでは1983年からピラミッドに登ることを禁止している。もし登ろうとしたところを警備員に発見されれば、現場で直ちに逮捕される。

 イタリアでは観光客による遺跡の破損が相次いだため、昨年12月に新たな法律を制定して遺跡の破損に対する処罰を強化した。ピサの斜塔は周りに高さ1メートルの鉄の柵があり、一般人は中にはいることができない。

 予約をした上でガイドの案内を受けてしか近づくことはできず、1日に見学できる人数も制限されている。年間600万人が訪れるコロッセウムには警備員が常駐しており、施設を破損した場合は最低1年から最長で15年の懲役刑となる。

慶州=クォン・グァンスン記者 , イ・ヘイン記者

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