現実の世界で国民の平和と安全をどう守るかを学ぶ講座「8・6広島平和ミーティング」が6日、広島市中区のホテルで開かれた。「世界激変、問われる日本の覚悟」と題して、作家の百田尚樹氏が講演。「平和」と唱えていれば平和になるという夢想から脱却しようと訴え、約1500人が耳を傾けた。

 講座は、国ごとの現実的な利害関係がからむ国際関係を無視して真の平和を実現することはできないとするメッセージを、「原爆の日」の広島から発信しようと、日本会議広島が平成21年から開いている。

 9回目の今年は、百田氏の講演に先立って、中国に侵略されて独立を奪われ新疆ウイグル自治区と名称を変えられたとする東トルキスタン亡命政府のアフメットジャン・オスマン大統領が登壇。

 侵略の結果、住んでいた地域で中国による核実験が繰り返された歴史や、民族のアイデンティティーが今もなお奪われつつある現状などを訴え、「中国の脅威」は日本人にとってもひとごとではないと警鐘を鳴らした。

 百田氏は、軍事施設ではない市街地を狙った米軍の空襲は明確な戦争犯罪であることを指摘し、原爆慰霊碑に記された「過ちは繰返しませぬから」という言葉に違和感を覚えるかどうかが、自虐史観から脱却できているかのリトマス試験紙だと主張。

 国際条約で禁止されている非戦闘員の殺傷を目的とした戦闘行為である原爆投下や東京大空襲を批判するたびに寄せられていた「日本が悪かったから空襲された」という反論がここ数年で減りつつあると述べ、若い世代を中心に自虐史観が薄れつつあるとの考えを示した。

 さらに、憲法を改正して自衛隊を国防軍にすると軍国主義が復活するとか、戦争を呼び込むことになるとか主張する意見を批判。

 約200年にわたって戦争に巻き込まれていない永世中立国のスイスは徴兵制をとる国民皆兵国家で、人口比では自衛隊の10倍以上となる規模の軍隊を保持していることや、

 逆に軍隊を廃して永世中立を宣言したルクセンブルクは第一次世界大戦と第二次世界大戦の2度にわたってドイツ軍に国土を蹂躙(じゅうりん)された結果、現在は軍隊を保持して軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)に加盟している歴史を紹介し、言葉のみに頼る「平和」がいかに無力かを力説した。

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夢想では平和を守れないと語る百田尚樹氏=広島市中区