韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は6日、フィリピンのマニラで開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)の夕食会で、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相に「南北対話の提案に応じてほしい」と語った。

 しかし李外相は「誠実さがない」とこれを一蹴した。続いて李外相は、7日のARF外相会議の演説で「われわれは責任ある核保有国、大陸間弾道ロケット保有国」だとして「米国の敵対視政策と核の脅威が根源的に清算されないかぎり、いかなる場合にも核とミサイルを交渉のテーブルに載せる気はない」と発言した。

 核・ICBM(大陸間弾道ミサイル)カードを手にした以上、韓国は棚に上げて米国だけを相手にしたいという意図を明らかにしつつ、核保有国として認めるよう国際社会に迫ったのだ。

■李外相「核は朝米の問題」

 李容浩外相は7日の演説を終えた後、宿舎の前で待っていた取材陣に演説文を配布した。演説文の8割以上が、「核問題は米朝間の問題」という点の強調に焦点を合わせていた。

 李容浩外相は演説文で、米国の脅威が原因で核開発せざるを得なくなった歴史を紹介した後、「われわれが各種の武器開発の過程を一つ一つ見せてやりつつ開発・完成させたのは、こちらの能力を見せて米国の戦争挑発を抑制しようとすることに目的を置いたから」と主張した。

 それとともに「(ICBM発射により)2度にわたってわれわれは、米国本土全域を射程に収めたということを全世界に示した」「米国が最後まで軍事的に襲い掛かってくるなら、核戦略の武力でたっぷりとしつけ直す準備ができている。

 しかし、米国の軍事行動に加担しないかぎり、米国を除くいかなる国にも核兵器を使用する意図はない」と語っていた。

 李容浩外相の演説で、韓国関連の言及は1度だけだった。「米国へ盲目的に追従する日本と南朝鮮当局についてはあえて言及しない」という部分だ。

 北朝鮮のこうした「韓国無視」の方針は、6日の康京和外相と李容浩外相の対面でも確認された。両外相はARF夕食会の待合室で顔を合わせ、およそ3分対話を交わした。

 韓国外交部(省に相当、以下同じ)が公開した当時の状況によると、康外相は李容浩外相に握手を求め「韓国の新政権のベルリン構想と、後続措置という観点からの対北提案(軍事会談、赤十字会談)に対し、北側からまだ何ら呼応がない。速やかな呼応を期待する」と発言した。

 これに対し李容浩外相は「南側が米国と協調し、対北圧迫を展開している状況でのそのような提案には、誠実さが欠如している」と発言し、康外相は韓国側の誠実さを強調しつつ、再度北朝鮮の呼応を求めたという。

 北朝鮮のICBM発射に対応して国連安保理が北朝鮮制裁決議2371号を採択してから1日もたってない時点で、統一部でもなく外交部が北朝鮮に「対話」を求めたが、あらためて公に拒絶されたことになる。

■外交の幅を狭める「ベルリン構想」

 韓国が対話を提案し、北朝鮮がこれを拒否するということが続く中で、文在寅(ムン・ジェイン)政権の「ベルリン構想」が、むしろ国際舞台での韓国外交の幅を狭めているという指摘がなされている。

 国際社会の制裁・圧迫強化の流れに歩調を合わせつつ、同時に北朝鮮との対話にも神経を使わなければならないという二つの宿題を抱え込んでいるため、外交の一線で一貫したメッセージを発信できず、混線が生じているというのだ。

 康京和外相が李容浩外相に対話提案をしたことを巡っても「韓国大統領府(青瓦台)の最大の関心事はベルリン構想なので、外交部としても『北朝鮮側へ確実に伝えた』という点を対外的に示そうとしたらしい」という声が上がった。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/08/2017080801191.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/08/2017080801191_2.html

>>2以降に続く)