韓国きってのリゾート地、南部の済州島を先日、訪れた。

 島は中国からビザなし観光客を受け入れており、中国が米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備に反発、団体旅行者の訪韓を事実上制限する“報復”に出たことで最も打撃を受けたとされる地域だ。

 1〜7月に済州島を訪れた中国人観光客は、前年の約177万人から約59万人に激減。

 中国人旅行者でにぎわっていたという済州市の免税店通りや刺し身店の通りは閑古鳥が鳴き、中国人客を見越して雇われた中国人従業員が手持ち無沙汰にしていた。

 店主らは「THAADのせいでね…」とため息を吐いていた。

 島の西側には、沖縄に勝るとも劣らないエメラルドグリーンの海が広がる。海沿いの道は韓国人観光客のレンタカーで渋滞していた。

 元アイドルと夫が近くの自宅で民泊を営む様子を毎週伝える番組によるブームもあるが、国内旅行客はむしろ前年より増えている。

 世界自然遺産の一つでもある東側の名勝、城山日出峰は以前、登山客の列が麓まで続いていたという。定番の景勝地に中国人客が押し寄せたためだ。

 中国人団体客という放っておいてもカネを落としてくれる“一見さん”が消えた今、どれだけ国内リピーターを増やせるか、観光地の真価が試されている。(桜井紀雄)

http://www.sankei.com/world/news/170808/wor1708080015-n1.html