国連安保理は5日、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイル発射実験に対応する措置として、制裁決議2371号を全会一致で採択した。

これについて、北朝鮮の外貨稼ぎ機関に長年勤務していた元高官は、この制裁がまともに履行されれば、北朝鮮の対外輸出の8割以上はブロックできるだろうと、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで述べた。

朝鮮労働党39号室傘下の大興(テフン)総局など、北朝鮮の複数の外貨稼ぎ機関の幹部を歴任した李正浩(リ・ジョンホ)氏は、制裁決議2371号が抜け穴なくまともに履行されたとすれば、8割以上の輸出がブロックされ約17億ドル(約1888億円)が得られなくなるため、北朝鮮の金づるを完全に断ち切る非常に効率的な制裁になるだろうと述べた。

中国とロシアが米国や韓国、日本に比べて制裁に消極的である理由について、李氏は2点を指摘している。

ひとつは、それによって制裁カードを使い果たしてしまうため、もうひとつは、北朝鮮の政権が崩壊しかねないとの懸念があるためだという。

李氏はまた、今回の制裁により、北朝鮮は原油を購入する原資がなくなるため、間接的に原油の禁輸効果があると述べた。中国がパイプラインを通じて借款により供給している原油は、北朝鮮がかろうじて生きながらえる程度のものに過ぎないという。

輸出できなくなった石炭などが内需用に向けられ、北朝鮮経済の活性化につながるとの見方が一部で示されていることについて李氏は、「北朝鮮の経済構造と状況を知らないからそんなことが言える」と一蹴した。

北朝鮮の国営企業間での取引は無償で行われるため、資金を得るためには製品の輸出が欠かせない。

炭鉱の場合、中国への輸出で得た資金で操業を続けているが、それができなくなれば、今までのように国内での石炭の無償提供ができなくなる。そうなれば、火力発電所は操業が止まるなど、連鎖的に影響が広がるという。

また北朝鮮の製鉄所は、鉄鉱石を輸出してそれと引き換えに自国では生産できないコークスを輸入し、鋼鉄を生産しているが、資金の枯渇で操業ができなくなることで、国内の各種建設工事がストップしてしまうという。

李氏は、北朝鮮の実質的な年間輸出額について、一般的に言われている数字の3分の2の約20億ドル(約2215億円)と見ている。

その理由としてリ氏は、衣類の輸出が9〜10億ドル(約967億円〜1107億円)に達しているが、実際には中国企業からの委託加工であるため、北朝鮮が受け取る額は5000万ドルから1億ドル(約55億円?110億円)に過ぎないと説明した。

http://dailynk.jp/archives/93565


新たな対北制裁、金正恩は「何ひとつ驚かないだろう」=米CNN

国連安保理の新たな対北制裁案に、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は「何ひとつ驚かないだろう」と米国CNNが7日(現地時間)、報じた。

CNNは国連の新たな対北制裁案が、北朝鮮経済に深刻な悪影響を及ぼすものの、金委員長の核ミサイル開発には「影響を与えない」として、このように展望した。

これを前に去る5日、国連安保理が新たな対北制裁案を満場一致で通過させた際、ドナルド・トランプ大統領は自身のTwitterを通して「単一制裁案として、最も大きな制裁案」と明かしていた。

しかし、大部分の専門家らは対北制裁案がどれほど実行されるのか、と疑問を呈している。

ティラーソン米国国防長官は、これらの意見を意識したように、去る7日の記者会見で「関連当事国が、今回の制裁案を実行するのかを綿密に見守る」と明かした。

http://www.wowkorea.jp/news/korea/2017/0808/10195399.html