河野太郎外相が「外交デビュー」で、八面六臂(ろっぴ)の大活躍を見せている。訪問先のフィリピンで7日、レックス・ティラーソン米国務長官や、中国の王毅外相、ロシアのラブロフ外相、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相らと次々に会談し、強い存在感を示したのだ。

 希代の「親中派」「親韓派」である父、洋平元官房長官の「負の遺産」を克服していく勢いだ。

 「(南シナ海に関する)あなたの発言を聞いて率直に言って失望した」

 王氏は、日中外相会談でこう語った。「盗っ人猛々しい」とは、まさにこういうことだ。

 中国は、南シナ海のほぼ全域を囲む「九段線」を勝手に引き、岩礁を埋め立てて軍事基地化しているうえ、日本固有の領土である沖縄県・尖閣諸島の周辺海域に、軍艦や公船を侵入させている。まるで無法国家だ。

 河野氏は注目の会談で、南シナ海問題について、国際法に基づき各国船舶による「航行の自由」を守るべきだとする立場を伝達し、中国の動向について「深刻な懸念を持っている。一方的な現状変更の試みに強く反対する」と述べた。日本の外相として当然の主張といえる。

 王氏の失礼極まる先の発言は、河野氏に対抗したもので、洋平氏のことを持ち出して、「正直な政治家」「彼の経験した歴史の教訓と正確な意見を大切にするよう望む」とも語ったという。中国にとって、洋平氏はよほど「都合のいい政治家」だったようだ。

 河野氏は、日米、日露外相会談にも臨んだ。

 ティラーソン氏との会談では、日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を17日に開くことで一致。ラブロフ氏とは、北方領土の共同経済活動に関する外務次官級協議を、17日にモスクワで行うことで合意した。

 さらに注目されたのは日韓外相会談だ。

 洋平氏は官房長官時代、独断で慰安婦の強制性を認めた「河野談話」を発表した張本人。一部の韓国メディアは、河野氏の外相就任に期待を寄せていた。

 ところが、河野氏は、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の撤去を含む日韓合意の履行を要求し、「合意が韓国国内でしっかり認知されるように努力していただきたい」と迫った。

 康氏は「韓国国民の大多数が受け入れられずにいるのが現実だ」と応じた。隣国は「国家間の合意」という重みを理解していないようだ。

 ともかく、河野氏は政治的な「父親超え」「父親殺し」に大きく踏み込んだといえる。

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中国の王毅外相(右端)と渡り合う河野外相=7日、マニラ(共同)