【上海・林哲平】中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州九寨溝(きゅうさいこう)県で8日夜に起きた地震で、地元政府によると死者は19人に増え、263人がけがをした。付近では余震が続き、落石も相次ぐなど、被害の全容は見通せていない。

地震の影響で中国屈指の人気を誇る世界遺産・九寨溝内の池に大きな穴ができるなど地形にも影響が出ている。

中国メディアによると、地震でホテルの一部が倒壊するなどし、旅行客らが下敷きになった。付近は標高2000メートルを超える山岳地帯で、落石による被害も大きい。

中国メディアによると観光客ら13人が乗ったバスを落石が直撃。バスは川に転落し、一部の乗客が行方不明になっている。観光エリアの劇場ではがれきの下敷きになった実習生の女性が死亡した。

当時は、9万人近くが死亡・行方不明になった2008年の四川大地震をテーマにした舞台が演じられていた。

人気の景勝地、九寨溝にも地震の影響が出ている。九寨溝管理局は9日、池の一つ「火花海」で長さ50メートル、深さ12メートル、幅20メートルにわたる決壊が確認されたとウェブサイトで発表した。

エメラルドグリーンの水をたたえ、日光が当たると火花が散るように美しいことから人気を集める名所。

中国紙「中国経営報」が掲載した、地震後に住民が撮影したとされる画像には、水がなくなり底が露出した池の様子が映っている。決壊で水が流出したためとみられる。

九寨溝内の遊歩道にも土砂崩れや落石、倒木などがあり通行できなくなっており、同管理局は観光客の受け入れを中止すると発表した。

https://mainichi.jp/articles/20170810/k00/00m/030/173000c

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地震後に水が干上がり、底が露出した世界遺産・九寨溝の湖「火花海」とされる動画の一場面。付近の住民が9日に撮影した=中国紙「中国経営報」の党鵬記者提供