米国と北朝鮮が戦争を思わせる発言で衝突した9日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこれについて言及しなかった。その代わりに文大統領は「自主国防」を強調、独自の防衛力向上を軍に注文した。

 文大統領は同日、大統領府で新任の軍首脳部に進級・担当職の報告を受けた際、「当面の課題は北朝鮮の核とミサイルによる挑発行為に我々が対応できる戦力を確保することだ。軍事対応態勢を早期に補完し、自主国防によって進めなければならない」と述べた。

 しかし、「制裁と対話の並行」という2つの戦略で韓半島(朝鮮半島)問題において主導権を握るとしていた文大統領の構想は、現在の情勢下ではますます肩身が狭くなっており、大統領府も頭を抱えている。

 文大統領は7日、トランプ米大統領との電話会談で「今は対話の局面ではない」と制裁優先方針を再確認した。しかし、北朝鮮に対しては依然として人道的交流などのための南北対話を提案している。

 大統領府は同日、北朝鮮の脅迫まがいの発言を「内部引き締め用」だと規定した。

 大統領府関係者はこの日、複数の記者に「韓半島危機説という言葉には同意しない。安保の状況が重大になりつつあるのは事実だが、このような状況をうまく管理すれば危機を乗り越えるチャンスになるかもしれない」と語った。

 この関係者はまた、北朝鮮のグアム包囲射撃発言について、「安保理制裁決議採択後、北朝鮮はあまりにも敏感に反応しているようだ。内部引き締め用だと思われる」と言った。

 そして、「北朝鮮が5機関の名義で声明を出したのはとても珍しい状況だ。韓国国内の安保に対する不安をあおり、韓米同盟離間、米国の対北朝鮮政策弱体化など、さまざまな目的があると思われる」と述べた。

 与党関係者も「北朝鮮には緊張を最大限膨らませてから対話へと局面を変えるパターンがある。そうした状況にも備えなければならない」と言った。北朝鮮のいわゆる「瀬戸際戦術」だという認識だ。

 だが、これは対外的な説明であり、大統領府の内部的には米朝の緊張が高まれば高まるほど韓国の外交活動の幅が狭まり、安保関連の予測が不可能になることを懸念する雰囲気もある。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/10/2017081000727.html