夏は中国語の勉強−。人口約450万人のうち9割をイスラム教徒の少数民族、ウイグル族が占める新疆ウイグル自治区西部カシュガル地区。

中国政府による国語の普及強化や、熾烈(しれつ)な競争に伴うウイグル族の意識変化もあり、子供を夏休み期間中に塾通いさせる親が増えている。

「友達に会えるし楽しみ。費用は2週間で380元(約6200円)」。7月初旬の昼下がり。日干しれんが風の住居が並ぶ同地区中心部の旧市街地で、ウイグル族の小学3年の女児、ディラダさん(9)が中国語の塾について、はにかみながら語った。

カシュガルでは中国語を使う機会は少なく、ほとんど話せない大人も多い。アラビア文字を使うウイグル族にとっては外国語も同然だ。

住民にとって塾代は安くないものの必要な出費と割り切る親も増えており「中国語ができないと受験や就職での競争に勝てない現実がある」と解説する関係者も。

中国政府はウイグル族学生の内地への留学促進や、自治区へ派遣する中国語教師の増員など国語普及に力を入れており、支配層である漢族への「同化政策」との反発も強い。

一方、ディラダさんは「夏は掃除や料理など家事も手伝いたい」とも話す。絆が強いウイグル族の家庭では幼い頃から親を手伝うのが当たり前で、街中では休日に羊肉の串焼き店などで働く子供があちこちで見られる。

「偉いわね」。話を聞いていた40代のウイグル族の女性は、伝統が継承されていることにほっとした様子で、ディラダさんに優しいまなざしを向けた。(カシュガル 共同)

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新疆ウイグル自治区西部のカシュガル地区の飲食店で働くウイグル族の子供=7月上旬(共同)