8月19日の新聞に、核廃絶を訴える高校生平和大使の国連演説が見送りになったという記事が載りました。

「高校生平和大使」とは?

私が彼らの存在を知ったのは8月5日、原爆記念日前日の広島でした。少し古い話になりますが、今年6月、オーストラリア・メルボルン在住の邦人の方々に招かれて講演をしたのですが、その際にさまざまな妨害に遭いました。

首謀者は田中利幸氏。彼は、ユキ・タナカという女性のような名のりで、反日的な内容の本『ジャパンズ・コンフォート・ウィメン(日本の慰安婦)』を英語で出版している人物です。『ニューヨーク・タイムズ』にも書いています。

現在はメルボルンを拠点にしていますが、もともとは広島市立大学広島平和研究所教授。毎年8月6日に合わせて広島で集会を開いているそうです。そのことをフリージャーナリストの大高未貴さんから教えていただいて、“左翼おばちゃん”の扮装(ふんそう)で広島に入りました。

8月5日、広島市まちづくり市民交流プラザの研修室で開催された「8・6ヒロシマ平和のつどい2017〜憲法破壊と腐敗の政治=安倍政権を根っこから打倒しよう!」というイベントに、まずは参加しました。

広めの研修室には200人近い方々が集まり、席はほぼ満席状態。団塊の世代以上の方がほとんどで、1960年代後半生まれの私の年でも若くて目立ってしまう感じでした。

開会のあいさつに続いて出てきたのが、「高校生一万人署名実行委員会」でした。彼らは、新聞記事にある「高校生平和大使」の兄弟組織です。

高校生平和大使は毎年、国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)へ核廃絶を訴える署名を提出しています。その数は18年間に145万筆。

希望者全員が平和大使になれるわけではないので、なれなかった人たちで作る「高校生一万人署名活動実行委員会」という組織ができました。この組織は毎年、韓国とフィリピンを訪問しているとのことです。

全国被爆二世団体連絡協議会元代表の平野伸人氏に引率された実行委員会の高校生8人は、一人ずつスピーチを行いました。その内容は、核廃絶と関係のない、韓国訪問プログラムに関するものでした。

「韓国に行き、強制連行記念館などを見学した。日本人がこんなひどいことをしたなんて初めて知ってびっくりした」

「もっともっとたくさんの人たちに日本の戦争犯罪、加害責任について知ってほしい。」

そう話して、集まった人たちから拍手を浴びていました。

この高校生たちが悪いとは思いません。が、まっさらな高校生にこんな刷り込みをする教師たちに憤りを感じました。

続いて基調講演が始まりました。「安倍政権を倒してどんな社会をつくるのか−象徴天皇制を超える展開を論じよう」と題して基調講演を行ったのは、政治評論家の武藤一羊氏。

政治評論家というよりは「ベトナムに平和を!市民連合(べ平連)」を立ち上げた極左の活動家といった方がよいでしょう。現在の肩書は「ピープルズ・プラン研究所運営委員」となっています。

前半は「打倒安倍政権について」。かなり妄想が入った内容でした。

〈戦後何度も右の政権があった。中曽根(康弘)など。今までの右政権と安倍(晋三)政権の違うところは、彼は「戦後レジュームの脱却をやる」といったこと。レジュームとは、体制である。体制を変える=もはや右とか左とかの問題ではない〉

〈安倍は戦前の日本帝国と今の日本をつなげようとしている。憲法による新体制を覆す。戦後を軽く見ている〉

〈しかし、われわれの側は、右派的な政策に反対することはできても、「体制を変える」と言っている政権に対する戦い方を知らない。手をこまねいている間に世間はどんどん右傾化した〉

〈冷戦が終了し、ソ連の前提社会主義が崩れた1990年が分岐点。総評(日本労働組合総評議会)がなくなったのも大きい。日本会議や極右教科書を作る団体が力をつけてきた。特に日本会議は自民党を乗っ取った。そして安倍を使って政権を乗っ取った。二重の乗っ取りである。日本会議による公権力の私物化がすでに始まっている〉

http://www.sankei.com/life/news/170826/lif1708260001-n1.html

>>2以降に続く)