北朝鮮に秋波を送っていた韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権が、核実験を受け、強硬策に転じている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対する「斬首作戦」の部隊を創設すると明らかにしたのだ。しかし、作られるのは12月で、北朝鮮の軍事的挑発が相次ぐ中、慌てて対応策を打ち出している感も否めない。

「今年12月1日付で部隊を創設し戦力化が可能」。斬首作戦について、宋永武(ソン・ヨンム)国防相は4日の国会国防委員会で述べた。聯合ニュースによると、来年の末ごろに作戦能力を具体化できるかについて、宋氏は「できる」と語った。

あれだけ文大統領が反対してきた米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」についても、あっさりと方針が覆った。

韓国国防省が4日、配備済みの発射台2基に加え、近く4基を臨時に追加配備することを発表したのだ。文氏は当初、配備に反対する国内世論を意識し、追加配備に慎重だった。しかし、北朝鮮が7月末に弾道ミサイルを発射したことで方針を転換。今月3日の核実験が配備を決定づけたようだ。

国防省や環境省などによる南部の慶尚北道星州(キョンサンプクトソンジュ)郡の配備用地への環境影響評価が完了し、環境省が「条件付き」で配備に同意した。追加配備される4基は、近くの米軍基地で保管状態が続いていた。

相次いで対北強硬策が明らかになった韓国だが、北朝鮮との対話路線を訴えてきた文氏も、北朝鮮の脅威を目の当たりにし、ようやく現実に目覚めたのか。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「北朝鮮に厳しい国が増えたから、そういうことを言っているのではないか。斬首作戦といっても、文大統領や側近は『親北朝鮮派』だから、計画がすべて北朝鮮に筒抜けになってしまう。だから、米国も大事なことを韓国に教えない方針になっており、まともに受け取らない方がいいだろう」と話し、こう続けた。

「時間がたったら、すぐにまた北朝鮮との話し合いという方向になってしまうのではないか」

再び、対北宥和路線となる可能性は十分ありそうだ。

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文大統領の対話路線と逆方向に事態は進んでいる (ロイター)
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4日、ソウルで訓練を行う韓国軍の首都防衛司令部(ロイター)