2017年9月15日、韓国・朝鮮日報は、韓国国民の生命と安全を守る救急・消防隊員らが理不尽な苦難を強いられていると報じた。

最近、大韓弁護士協会が無料で法律相談を行う弁護士を募集したところ、協会の弁護士392人が応募した。弁護士らが先を争って「報酬はいいから助けよう」と立ち上がったのは「消防士」だった。

なぜ「消防士」なのか。実は、彼らは救助や救急の過程で発生した器物破損により抗議を受けたり、訴訟に悩まされたりすることが少なくないのだ。

例えば、マンション火災現場に出動した消防士が、「中に人がいるかも」との思いで玄関のドアを破壊し飛び込むことは珍しくない。しかしこの行為が基で、ドアや財産破損に対する損害賠償を求められる例がたびたびあるという。

ソウル消防災難本部によると、2015年から今年6月末の間に「火災鎮圧などで発生した器物破損を弁償してほしい」という要求は54件寄せられ、うち43件がドア、次いで車両(3件)、エアコン室外機(2件)、看板・ひさし・蚊帳(各1件)破損の請求が続いたという。

15年には、ソウル市内の消防士ソンさん(50)が火災現場のアパートに進入するため隣家の塀をよじ登ろうとしたところ、足を踏み外し雨どいを壊してしまった。翌日、家主の娘が消防署を訪れて弁償を求めたため、ソンさんは「消火しようとして起こったことなので大目に見てほしい」となんとか説得したそう。

また昨年も、ソウル市内のマンションのベランダで発生した火災を消火した消防署の隊員らが、「壊れた玄関のドアと破れたソファを弁償してほしい」と訴える家主と合意するのに苦労したことがあった。

民事・刑事訴訟に巻き込まれる消防士も少なくない。昨年1年間で、緊急業務を遂行していた消防士が訴訟に巻き込まれた件数は7件で、大半が出動中の交通事故が原因とされる。訴訟費用を消防士が自費で賄うこともある。14年、救急隊が搬送中の40代女性が救急車のドアを開けて飛び降り、車にはねられて死亡する事故があった。女性は泥酔状態だったという。

すると、遺族が「救急隊員の不注意で死亡した」と救急隊員(37)相手に刑事訴訟を起こしたのだ。隊員は勝訴したが、すべての費用を一人で負担したという。

この報道に、韓国のネットユーザーからは

「命を懸けて助けたのに、返ってくるのは告訴状。これが人間のやること?」
「119を呼んでおいて損害賠償しろ?何考えてるの?」
「消火栓前に駐車してある車は破損しても責任を問われないのが普通。なのにヘル朝鮮(地獄のような韓国)はその反対。だから後進国」

など、市民の「非常識」を批判する声が多数寄せられている。

また、

「火元の家や救助された人に消防隊の出動費用を請求しよう
「国会議員の給料を削減して消防士の給料を引き上げろ」

などの提案も相次ぎ、中には「119番の電話メッセージに

『あなたの器物を破損しても命を助けましょうか。よろしければ1を、違う場合は2を押してください』と入れたら?」という声も。

実際に火災に遭ったというユーザーは「留守中に火事が起こって、消防士の方がドアをこじ開けて消火してくれた。今もドアはゆがんでいるけど、感謝の気持ちしかない。だから損害賠償を要求するなんてあり得ない」と自身のエピソードを織り交ぜて強く主張した。


2017年9月16日(土) 11時0分
http://www.recordchina.co.jp/b190705-s0-c30.html