韓国・ソウル市のパク・ウォンスン(朴元淳)市長は、かつて情報機関の国家情報院が「パク市長は北朝鮮寄りだ」と中傷する情報を流し、当時のイ・ミョンバク(李明博)大統領がそれを承認していたと主張して、イ元大統領を名誉毀損の疑いで検察に告訴しました。

韓国のムン・ジェイン(文在寅)政権は、過去の保守政権下で、情報機関の国家情報院が、政権に批判的な人物を中傷する情報をインターネット上で拡散させるなど、法律で禁じられた政治的な活動を行っていたとして調査を進めていて、ソウル市のパク・ウォンスン市長も対象になっていたことが明らかになりました。

これを受けてパク市長は、国家情報院が当時のイ・ミョンバク大統領の承認のもとで、みずからを「北朝鮮寄りの人物だ」と中傷する情報を流したり、保守系の団体を動員して、市の政策を批判させたりしたと主張して、19日、イ元大統領を名誉毀損などの疑いで検察に告訴しました。

イ・ミョンバク政権下の国家情報院は、放送局に対して、政権に批判的な俳優や映画監督を起用しないよう圧力をかけたことも確認されていて、当時、番組から降板させられた俳優らが、相次いでイ元大統領を告訴する考えを表明する事態となっています。

こうした中、韓国国内では、検察がイ元大統領に対する捜査に乗り出すかどうかに関心が高まっていますが、保守系の野党は、「現在の革新系政権による政治的な報復だ」と反発するなど、政治的な対立も深まっています。

9月20日 1時50分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170920/k10011148501000.html