韓国水力原子力は9日、韓国式の新型原子炉モデル「APR1400」を欧州の安全基準に合わせて開発した輸出用モデル「EU-APR」標準設計が欧州事業者要件(EUR)認証を獲得したと発表した。これにより、同モデルは欧州向け輸出の道筋が付いたことになる。APR1400は今年6月、米原子力規制委員会(NRC)の設計認証審査も事実上通過している。

 韓国が独自技術で開発したAPR1400は、新古里原子力発電所3号機に採用され、昨年12月に商業運転を開始した。工事再開をめぐり、論議が進む新古里原発5・6号機にも採用され、アラブ首長国連邦(UAE)に輸出したモデルでもある。EUR認証は英国、フランス、ロシア、チェコなど欧州圏12カ国14社の原発事業者で構成される欧州事業者協会が安全性、経済性などを審査するもので、同認証の獲得は欧州地域への「原発輸出免許」を取得したことを意味する。韓国はフランス、ロシア、米国、日本に続き、5番目に認証を受けた。競合する中国はまだEUR認証やNRC認証を取得していない。最近、英国、チェコ、スウェーデン、ポーランドなど欧州では、既存の原発に代わる新型原発の需要が拡大している。韓国水力原子力は「EUR認証獲得でチェコ、ポーランドなど原発導入を推進する欧州各国での受注可能性が高まった。欧州だけでなく、同様の技術要件を求める南アフリカ、エジプトなどにも原発輸出が可能になった」と説明した。しかし、原発業界からは韓国が技術的に優位に立っているにもかかわらず、任期5年の文在寅(ムン・ジェイン)政権による「脱原発」政策で今後30年間に600兆ウォン(約59兆円)規模と予想される世界の原発市場を逃しかねないと懸念する声も聞かれる。

■有望な世界市場

 2011年の福島原発事故以降、低迷していた世界の原発市場は、英国、中国、インド、中東などを中心に復活している。経済成長に向け、大量の電力を必要とする中国、中東、アフリカなどで原発需要が急増している。世界原子力協会(WNA)などによると、7月時点で全世界で59基の原発が建設中であり、アジア、欧州、中東では160基が建設予定となっている。

 しかし、韓国では政府の脱原発政策でせっかくのチャンスを逃しかねないとの指摘が相次いでいる。ソウル大の黄一淳(ファン・イルスン)原子核工学科教授は「韓国国内でも冷遇されている原発を輸入するという国がどれだけあるかは疑問だ」と話した。原発業界関係者は「原発の部品は多種少量生産の構造であり、韓国で原発産業が崩壊し、部品業者が事業から撤退した場合、原発輸入国は部品確保が難しくなる。韓国式の原発輸入を検討していた国々はそれを懸念するはずだ」と指摘した。

アン・ジュンホ記者

2017/10/10 08:17 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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