韓国政府が無人機、高速艇、レーダー部品など国家の安全保障上、関連法規で輸出を制限している「戦略物資」の不正輸出が相次ぎ、増加の一途をたどっていることが18日までに分かった。

韓国軍周辺からは、物資の一部が北朝鮮に流れた可能性も否定できないとの指摘が聞かれる。しかし、防衛事業庁など関係当局は、戦略物資を違法に搬出した業者の現状もまともに把握できていない。

韓国警察庁が野党自由韓国党の国会議員に提出した資料によると、警察は今年、沿岸への上陸に使用される高速艇20隻を2015年から4回にわたり、マレーシアに不正輸出した業者を摘発した。

昨年にはレーダー部品を政府の許可なく、イスラエルに違法に搬出した業者が摘発された。ある業者は14年2月、防衛事業庁の許可なく、軍当局の戦略物資である敵探知用偵察無人機1機をイラクに不正輸出したとして摘発を受けた。

15年には知識経済部(省に相当)の許可なく、無人機2機、地上統制装置2台、シミュレーション設備などをオーストリアに不正輸出した業者があったことが発覚した。

最近相次ぐ北朝鮮からのサイバー攻撃を防ぐ上で重要なネットワークセキュリティー設備が不正輸出されたケースもあった。有毒な化学物質をベトナムなどに輸出した業者もあった。

韓国軍関係者は「北朝鮮は第三国を通じ、しばしば軍関連技術を盗み出すが、重要物資が韓国政府も知らない間に北朝鮮に流入した可能性がある。韓国軍の無人機を入手したとすれば、最悪の場合、それをコピーしたかく乱用の無人機を製作し、韓国側に浸透させてくることも考えられる」と話した。

戦略物資の不正輸出で警察に検挙された人数は、2013年の18人から15年に33人に増え、今年は1−8月だけで129人を数えた。戦略物資のメーカーが関連物資を輸出するためには、防衛事業法や対外貿易法などにより、防衛事業庁、産業通商資源部など関係当局の許可を受けなければならない。

しかし、警察に検挙されたメーカーは当局の許可なく、重要な軍需物資を輸出していた。

こうした状況にもかかわらず、防衛事業庁は過去5年間に起きた戦略物資流出事例のうち11件しか把握していなかった。

国家安保フォーラムのシン・ジョンウ上級分析官は「韓国が知らない間に北朝鮮などに重要兵器やシステムが渡った可能性があるのに、防衛事業庁が現状把握すらできていないというのは責任放棄だ。戦略物資の不正輸出業者に対しては、厳しい制裁を加えるべきだ」と述べた。

梁昇植(ヤン・スンシク)記者

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