ネット上で繰り返される匿名の誹謗中傷、その陰には組織的に投稿を繰り返す“ネット工作員”が存在するとの指摘も――。

10月12日、NHKの公式ツイッターアカウント「NHKニュース」によるつぶやきに、ネット上の一部の人々がざわついた。NHKのアカウントによれば、同社の看板番組「クローズアップ現代プラス」で、ネット炎上やネットリンチにまつわる取材をしており、情報提供を呼びかけているのだとか。

◆選挙前に「ネット工作員」が暗躍中…の真偽

同ツイートには、現在600件もの返信が寄せられているが、大半が左翼派・革新派の政治家を揶揄したりNHKの報道姿勢を問う、といった内容だ。NHKのツイートの通り、右派保守派、いわゆる「ネット右翼」と呼ばれるような人たちが“組織的に投稿”しているようにも思える事態。

しかし、ヘイトスピーチデモなどで知られる在特会(在日特権を許さない市民の会)の現役会員・杉本氏によれば、このNHKの指摘こそが「フェイク」であり「ヘイト」なのだという。

「NHKへの返信ツイートは、組織だって行われているものじゃない。アカウントの一つ一つを見ていけば容易にわかりますが、皆、保守的な思想を持つ一個人。

在特会などの“保守団体(杉本氏の見解)”に所属している人もいますが、誰彼に言われて書き込んでいるわけでも、書き込むことによって報酬を受け取っているわけでもない。我々のような個人を“工作員”と決めつけ排除するNHKこそが反日工作員であり、ヘイトを垂れ流している」

この杉本氏、ネット上によく見られるように「親自民党」で、安倍総理の熱心な応援団かといえば、そうでもない。「安部は売国奴」であり「真の保守」ではない、と鼻息荒く説明するから、政治に無関心な私は混乱してしまう。

「自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)」は、安倍晋三氏、麻生太郎氏らが最高顧問を務める、自民党青年部などが中心となって設立した「自民党応援団」として知られる。

ネット掲示板などでは、盲目的に与党礼賛を続ける「ネトサポ」とも揶揄される彼らだが、現役サポーターである前島氏(仮名)も、同団体が組織的な書き込みをしている、という指摘には首を振る。

「あくまでも自発的に集まった集団。書き込みも各々が勝手にやっている。そもそもサポーターの中にも安倍さんのやり方に疑問を持つ人もいて、総理は麻生さんがいい、谷垣さんがいいと意見はバラバラ。ただ、唯一共有しているのは、与党は“自民”じゃなきゃダメ、という感覚。民主党が与党だった数年前、あの悪夢をまた繰り返すのかと」

右派保守派標榜の人々に問うと、異口同音に「組織的なのは、左派革新派の方」だと話す。実情はどうなのか。

「確かにひとつの組織ですが、それぞれの信念の元に書き込みをしているし、指示があったとしてもそれが正当なものであれば受け入れる。これは自然なことです」

こう話すのは共産党の下部組織「日本民主青年同盟」、いわゆる「民青」の現役メンバー・X氏だ。徹底した反安倍、反自民の姿勢で知られる同団体のメンバーの多くも、ツイッターなどのSNSに積極的に書き込みを行う。X氏は“組織的”に書き込みをしている事実は認めつつ、その正当性も訴える。

「右派保守派とされる人々は、カチッとした集団ではないが、優生思想やヘイトを始めとした、あってはならないネット上の空気によって緩く団結している。こうした人たちには、何があっても対抗していかなければならず、マイノリティーである我々は団結して戦っているのです」

「マイノリティ」と自認するだけあって、保守多数派に対抗するためには「複数のSNSアカウントを運用」したり「一日に何度も投稿」することは当たり前で、ヘイトや左派革新派を揶揄するユーザーが発見されれば、全員で攻撃し潰す。

「数的弱者が戦うには限界があります。我々のやり方を“工作員的”というなら、その根拠を示してほしい。ネット上でも路上に出ても、我々は正々堂々とやっている。NHKがいう“工作員”が保守派のことなのか我々のことを指しているのかはわからないが、レッテルの貼り方としては極めて危険。考え方がバカなネット右翼そのもの」

http://news.livedoor.com/article/detail/13770206/

>>2以降に続く)