衆院選で北朝鮮への圧力路線を訴えてきた安倍晋三首相は北朝鮮有事も視野に入れ、外交・防衛両面で国内準備を本格化させる。国民の負託に応えることができるか。安倍外交はいよいよ真価を問われる。

「意図的に北朝鮮が緊張を高めている今こそ私たちはブレてはならない。国際社会と連携し、北朝鮮が『政策を変えるから話し合いましょう』と言う状況を作らねばなりません」

首相は12日間の選挙戦を通じ、全国各地でこう訴え、政府の対北朝鮮政策への支持を訴えた。

北朝鮮情勢は今後、国連安全保障理事会が9月に全会一致で採択した制裁決議の効果を見極める段階に入る。複数の政府関係者は「今後、北朝鮮の置かれた状況はますます厳しくなる」と口をそろえる。

米政府高官の発言も緊張感が強まっている。マティス米国防長官は10月9日、「大統領が軍事的選択肢を必要とした場合に確実に実行できるよう準備を整えなければならない」と強調した。

ハリス太平洋軍司令官も17日に「想像できないことも想像しなければならない」と述べ、米政府が「最悪の事態」を想定していることをにじませた。

こうした状況下でのトランプ米大統領のアジア歴訪は大きな意味を持つ。最初の訪問国に日本を選んだのは、その後訪問する中韓両国に対して「北朝鮮でいかなる事態が起きても日米同盟は揺るぎない」というメッセージを込めたとみられる。

日本政府は衆院選期間中も北朝鮮包囲網強化に向け着々と布石を打ってきた。

中国政府に対し、複数の外交ルートを通じて中国独自の対北制裁を評価するメッセージを伝え、日米との同調を促した。その裏では「経済制裁の効果が薄ければ米国は軍事行動を早めかねない」との情報も流し続けた。日本政府高官は「中国も米国の本気度を理解し始めている」と明かす。

また、煮えきらない態度を続ける韓国政府だが、在韓邦人はなお6万人おり、北朝鮮有事になれば協力は不可欠となる。日米韓3カ国が一致して行動できる環境がどこまで整うかが今後の焦点となる。(田北真樹子、杉本康士)

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安倍首相=22日午後7時53分、東京・永田町

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