ナミビア・ウィントフック(CNN) ナミビアの首都ウィントフックを見晴らす丘の上にある英雄広場。解放戦争を戦った無名兵士の像が片手にカラシニコフ銃を、もう一方の手にはソ連時代のものとみられる手投げ弾を構えた姿でそびえ立つ。この英雄広場は、北朝鮮の企業によって建設された。

アフリカではボツワナの首都ハボローネからセネガルの首都ダカールに至るまで、各国の政府が何年も前からひそかに北朝鮮と取引を続けてきた。北朝鮮が核開発や大陸間弾道ミサイル開発を進展させる中で、米国や国連は、北朝鮮とアフリカ諸国との関係を注視している。

国連によると、そうした契約の多くは北朝鮮の国営企業、万寿台海外開発会社が担い、北朝鮮に大量の資金をもたらしてきた。

対北朝鮮制裁の執行状況を監視する国連パネルのヒュー・グリフィス氏によれば、万寿台海外開発会社はアフリカの国連加盟国少なくとも14カ国で大規模建設プロジェクトを担い、軍需工場から大統領宮殿、集合住宅まであらゆる種類の建設工事を進めているという。

万寿台海外開発会社がアフリカで稼ぎ出す多額の資金は、北朝鮮の経済を長期的に支えられる規模だとグリフィス氏は言う。ナミビアでは英雄広場のほかに、建国の父と呼ばれるサム・ヌジョマ初代大統領の銅像や大統領宮殿も、北朝鮮との契約に基づいて建設された。

ナミビア政府は北朝鮮との取引を認めたうえで、「そうした合意は全て、国連による制裁前に交わしていた。しかし制裁が科せられるとそれを履行しなければならなくなり、我々は北朝鮮との契約を終了せざるをえなかった」(同国副首相)と説明する。

万寿台海外開発会社による銅像建設事業は、2016年に国連安全保障理事会の制裁対象になった。

国連によれば、万寿台海外開発会社はナミビアにおいて、もう1つの北朝鮮企業、朝鮮鉱業貿易開発会社(KOMID)と緊密に連携していた。KOMIDは北朝鮮の武器取引の中心的存在だったとされ、2009年から制裁対象になっている。

ナミビアの首都ウィントフック郊外の工業地帯には、監視カメラと高いフェンスで守られた広大な区画がある。CNNが調べた結果、この物件は2004年に万寿台海外開発会社へ約12万米ドル(現在のレートで約1360万円)相当で売却され、現在も同社が保有していることが分かった。

同社の本社はわずか数週間前まで機能していたと思われる。ナミビアの副首相は、国連制裁に従って北朝鮮がかかわるプロジェクトは全て中止され、北朝鮮の建設作業員は全員がナミビアから出国したと強調する。

一方、国連のグリフィス氏は、ナミビアへの問い合わせに対して1年以上も返答がないと話している。

国連制裁に関する今年2月の報告書は、ナミビアのほかにもコンゴ民主共和国、ウガンダ、タンザニア、アンゴラの各国を、返答のない国として挙げていた。

ウィントフック南部には、ナミビア政府が北朝鮮と契約して建設した軍需工場がある。国連パネルによれば、これは明らかに、約10年前にさかのぼる国連制裁に違反する。

ナミビアは、2016年6月に建設作業を中止したと発表したが、国連パネルはまだ中止の報告を受けておらず、北朝鮮の作業員が出国したという証明もないという。ナミビアの副首相は、作業員全員が出国したと強調したが、いつ出国したのかは明らかにしなかった。

北朝鮮に軍事施設を建設させている国はナミビアにとどまらない。国連パネルが9月にまとめた直近の報告書によると、モザンビークとタンザニアも北朝鮮と契約して地対空ミサイルを刷新していたとされる。

この情報について、モザンビークの当局者には接触できなかった。一方、タンザニア政府の報道官は、「確かに過去には北朝鮮と何らかの関係があったが、制裁が執行された時点で北朝鮮との関係は全て断ち切った」と話している。

ウガンダ軍の報道官も、北朝鮮との軍事契約は打ち切ったと強調し、「最後の北朝鮮人は9月に出国した。北朝鮮は我々の部隊の武術の訓練を行い、我々の軍事能力の向上を支援していた」と説明する。

https://www.cnn.co.jp/world/35109192.html

>>2以降に続く)