韓国貿易協会の金仁浩(キム・インホ)会長が24日に突然辞表を提出する際「政府が辞任を希望する旨のメッセージを伝えてきた」と明らかにした。韓国貿易協会は民間の経済団体の中では代表格とも言えるが、その協会長に政府から圧力があったというのが辞任の内幕のようだ。金氏は「辞任が協会にとってプラスになると判断した」とする一方「貿易協会の協会長がやる仕事について政府の幹部が知らずに何かをやることなどあり得ない」とも言い残した。韓国取引所は証券会社などが株主となっている民間企業だが、ここでも理事長候補の公募が終了した後に突然追加の公募が行われた。これも前例がないことから「権力が介入した」とのうわさが絶えない。大手銀行も幹部らの人事を自由に行えない状況が続いている。

 政府が1株も保有しておらず、また資金提供もしていない企業や団体に今の政府は堂々と影響力を行使しているが、これこそ一日も早くなくすべき積弊だ。ところがこの恥ずべき積弊を「積弊の清算」を叫ぶ政府が先頭に立って堂々とやっている。もちろん誰も口にはしないが、検察を使ったいわれのない捜査、あるいは政府部処(省庁)の権限を使った不利益の強要などを恐れ、どこの企業や団体も政府の言うことを聞かざるを得ないのが実情だ。民主国家では到底あり得ない悪習であり、もし政府関係者が本当に権限を乱用しているならば、当然その政府関係者は検察の捜査対象になるべきではないか。

 政府は時に大統領まで乗り出し公共機関における採用の口利きを批判しているが、これと同じく民間団体への不当な圧力行使もあってはならない。公共機関における役員などの座はずいぶん前から時の政権にとって一種の戦利品とされてきた。全く資格のない人間が政府を後ろ盾に今も堂々と企業や団体の幹部に就任している。新入職員採用の口利きどころの問題ではない。


2017/10/26 10:27 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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