加藤青延氏はNHKの解説委員。ご自身が上梓した『NHK特派員は見た 中国仰天ボツネタ&マル秘ネタ』(日本僑報社刊)の紹介記事には、次のような経歴が記されている。

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《1978年NHK入局。 香港支局長、北京支局特派員、東京国際部デスク、北京支局長、東京アジアセンター副部長を歴任。中国総局長――》などを経て、2006年より解説委員に就任している。

この加藤委員が中国最大の国営放送・中国中央テレビ(中国中央電視台・CCTV)の取材を受け、信じがたい“媚中発言”を連発したという情報が飛び込んできた。

放送されたのは、CCTVの朝の看板ニュース番組「朝聞天下」。WEBでは10月13日の午後3時頃にアップされた。「日本のNHKが十九大に注目」というもので、十九大とは中国共産党の「第19回党大会」を指す。第19回党大会は18日に北京で開会。中国は共産党が1党独裁のため、国の最高意思決定機関にあたる。

詳細を見てみよう。CCTVはNHKの報道姿勢を次のように位置付ける。

《中国の隣国であり、重要な経済パートナーである日本は、中国の発展や変化に並々ならぬ関心を持つ。中でも日本の公共放送機構であるNHKは、ニュースで報道するだけでなく、特別番組も放送している》

中国の経済発展は人類・地球にとっていいこと!?

そして加藤委員が登場する。

「やはり中国は今、大きく変わってきました。特に習近平総書記が……総書記になってからですね、中国の変化はすごく大きいと思いますけれども、それが、この党大会で更に大きく飛躍する、その新しいですね、時代に入るという、そういう意味を持つ大会になると思うので、これは、私は、すごく注目しています」

大きいという言葉を繰り返していることに引っかかるが、先に進む。CCTVの男性記者がNHKは「党大会における経済問題に関心を持ち、特に一帯一路は周辺国にも影響を及ぼす」と見ていると伝える。一帯一路は、習近平総書記が2014年に提唱した経済圏構想だ。かつてのシルクロード(一帯)と「海のシルクロード(一路)」の2つを軸に、インフラ整備、貿易促進、資金往来を促進するという。この一帯一路計画に対し、加藤委員は手放しの絶賛を送る。

「一帯一路という形で、中国の経済発展がユーラシア大陸、アジア、ヨーロッパに広く共存共栄の形で広がることで、中国が世界の発展に大きく寄与する形になってくるんだろうと。これは、私は凄くいいことでね、人類にとっても、地球にとってもいいことだと。それを中国が大きなリーダーシップでやり始めたのは、素晴らしいことだと思いますね」

共産党は人民に奉仕する人民のための党!?

「人類」とか「地球」という言葉は簡単に使えないものだと思うが、加藤委員は違うらしい。CCTVの男性記者は「加藤さんの個人的な関心は、中国共産党の自浄についてです」と続け、加藤委員が締めくくる。

「反腐敗ということを習近平総書記が打ち出されて、これを本当に口だけでなく、しっかりとした強い姿勢で腐敗に取り組んできたことは、一般の庶民からすれば嬉しいこと。共産党は人民のために奉仕する人民のための党なのですから、悪いことがあれば自分の力で直す。それをやってみせたのは大切なことで、なかなか出来ないことをよくやったと思います」

大問題なのは、公平公正に真相を追求すべきジャーナリストとして“陰”の部分を全く指摘していないことだ。一帯一路は中国の覇権主義も懸念されている。反腐敗運動は、習近平総書記が今回の党大会で「虎もハエも叩いた」と自画自賛したが、小物のハエはともかく、虎は大物であるほど、江沢民派の一掃という権力闘争とリンクした。

まして「共産党は人民のために奉仕する人民のための党」という指摘に至っては、中国人でも失笑するだろう。そんなクリーンな党員が、なぜ収賄に血道を上げるのか、愛人を嬉々として囲うのか、違法に稼いだ資金を海外に流出させるのか……。

https://www.dailyshincho.jp/article/2017/10270615/?all=1

>>2以降に続く)