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北朝鮮が先月29日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したことを受け、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最初の反応は「大陸間を越える北朝鮮の弾道ミサイルが完成されれば、状況がどうしようもなく悪化する可能性がある」だった。「悪化する可能性がある」という未来型だ。しかし、状況はすでに現在完了形だ。文大統領の話に緊迫性がない。

金正恩(キム・ジョンウン)がICBM発射を指示したのは国際社会がいかなるな強力な制裁を加えても、中国がいかなる圧力をかけても、北朝鮮人民がどんな苛酷な犠牲を払っても彼が公言した核・ミサイルの完成段階までは行くという不同の意志表現だ。北朝鮮土地をまるごと鉄壁ドームで覆わない限り、金正恩は引き続きミサイルを発射して核弾頭の最終的な小型化・軽量化のための核実験を行うだろう。大気圏進入技術を習得したかどうかをめぐる論争は意味がない。1〜2年の時差に何の意味があるだろうか。これからすべての対応策は「状況は悪化した」「金正恩はルビコン川を渡った」を前提に立てる必要がある。
(中略:日本と中国の対応)

トランプは意外にも淡々とした反応を見せた。「何も変わらない。我々が処理する(We take care of it)」。何も変わらないという言葉は制裁強化の道にまい進するという意味に読まれる。「我々が処理する」という言葉には制裁・圧力で難しければ軍事オプションを考慮するという暗示が入っているようだ。しかし、韓国の大統領は韓国の同意のない先制打撃はあってはならないという点を明らかにした。ワシントンでも誰よりジェームズ・マティス国防長官が先制打撃に反対の立場だ。レックス・ティラーソン国務長官は一貫して対話で問題を解決するという姿勢を維持してきた。

トランプは前任大統領の北朝鮮政策失敗を批判する。それと共に、彼は金正恩が大言壮語した核・ミサイルの完成のようなことは起きないと大声を上げた。しかし、そのようなことは起きた。トランプの北朝鮮政策も失敗している。トランプの問題は、自身はツイッターで金正恩と言い争いをやりとりしながら北朝鮮による核・ミサイル挑発阻止の責任を習近平に押し付けているということだ。

戦略爆撃機B−1Bが随時北朝鮮周辺に出動して北朝鮮の核・ミサイル基地を仮想ターゲットとした韓米合同演習が行われている中で、金正恩に「核実験するな、ミサイル試験発射をするな」と言っても金正恩が「はい、分かりました」と聞くはずがない。習近平が送った特使にも会ってくれない金正恩だ。

トランプは習近平に責任を転嫁するのではなく、レックス・ティラーソン国務長官を平壌(ピョンヤン)に派遣する大胆な決定を下さなければならない。ティラーソンでなければ、他の高官要人でもかまわない。トランプが北朝鮮に特使として行くと自ら要望したジミー・カーター元大統領を防いだのは誤りだ。米朝間には6月、米国大学生オット・ワームビア氏が北朝鮮に抑留されて帰国したが死亡した事件が起きる前に、ドラマチックな結果を生んだかもしれない真摯で意味のある水面下接触が長く、そして緻密に行われてきた。今でも米朝は接触再開の機会を見ている。北朝鮮が米国との対話に関心を持っているという意味だ。

再び強調するが、制裁では金正恩の核・ミサイル暴走を止めることはできない。トランプは「我々が解決する」という言葉を実践してみせるべきだ。米朝間高位当局者の会談で北朝鮮は核・ミサイルを凍結して韓国と米国は韓米軍事演習の縮小、または中断を交渉すること以外に他の現実的な案はない。ワシントンのコンセンサスも核・ミサイルの凍結に集まっている。しかし、凍結には北朝鮮の核保有を事実上認めるという落とし穴がある。そのため、凍結にはある時期に完全な核・ミサイル廃棄に向けた交渉をするという具体的な条件が必要だ。核完全廃棄交渉の時、米朝修交と平和協定が登場するだろう。

金永熙(キム・ヨンヒ)/コラムニスト・論説委員

ソース:中央日報/中央日報日本語版【コラム】ティラーソン米国務長官を平壌に派遣せよ=韓国
http://japanese.joins.com/article/070/236070.html