日本人が文明開化のかけ声と共に、数千数万の和製漢語を作
りだして西洋文明の消化吸収に邁進したのは、そのたくましい
知的活力の現れであるが、同様の現象が戦後にも起きている。
現在でもグローバル・スタンダード、ニュー・エコノミー、ボ
ーダーレスなどのカタカナ新語、さらにはGNP、NGO、I
SOなどの略語が次々とマスコミに登場している。

 漢語を作るか、カタカナ表記にするか、さらにはアルファベ
ット略語をそのまま使うか、手段は異なるが、その根底にある
のは、外国語を自由自在に取り込む日本語の柔軟さである。

 漢字という表意文字と、ひらがな、カタカナという2種類の
表音文字を持つ日本語の表記法は世界でも最も複雑なものだが、
それらを駆使して外国語を自在に取り込んでしまう能力におい
て、日本語は世界の言語の中でもユニークな存在であると言え
る。この日本語の特徴は、自然に生まれたものではない。我々
の祖先が漢字との格闘を通じて生みだしたものである。

 ・日本は台湾、朝鮮、満州で、鉄道、道路、港湾、飛行場、上下水道、電力、ダムの建設、治水治山、近代産業や近代都市の建設といった『インフラ整備』だけではなく、
近代的な経済、経営、社会などの諸制度を確立し、伝統文化の保護や土着の言語、文字の体系化、社会科学、自然科学、近代思想、哲学、文学、芸術の普及、そして教育の普及等々を、見事なまでに成し遂げている。