漢字の世界というのは原始的で、喰うとか寝るは表現できても、情感表現には限度がある。

 ・日本は5世紀間、思案を重ねて仮名を思いついた。これなら日本語を壊さないで表記できる。漢字の存在は知りつつも仮名の発明まで待って漢字を導入した。しかも、仮名を2種類創ったところがすごい。

 一つは漢字の一部、たとえば「伊」の偏だけとって「イ」を創った。もう一種は「安」の草書体から「あ」を創った。おかげで米国からテレビがこようと、ドイツからルンペンがこようとみな仮名名で処理できる。
漢字の国から「老頭児」がきてもロートルで済んだ。

 その中国では4000年変わらずに、テレビは電影、即席緬は方便緬と馬鹿の一つ覚えでやってきた。

 しかし文化は高きから低きに流れる。日本に遅れること1400年、中国は日本の仮名書きの方法をそっくり採用して表音文字を生み出そうとしている。(週刊新潮