韓国統一部(省に相当)の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官は27日、平昌冬季オリンピック開会式前日の来月8日に北朝鮮で開催される建軍節の軍事パレードについて「平昌オリンピックとは関係なく、偶然日時が重なった」との見解を示した。韓国大統領府のある幹部も先日、平昌オリンピックの開会式と軍事パレードの日程について「偶然」と述べた。

北朝鮮は2015年、朝鮮人民軍が創設されたとする建軍節を故・金日成(キム・イルソン)主席が遊撃部隊を創設した4月25日から、正規軍が創設された2月8日に事実上変更した。ただし軍事パレードは従来通り4月に行ってきた。ところが今年から軍事パレードも2月に変更したのだ。

北朝鮮は軍事パレードに1万2000人の兵力を動員する計画で、また平壌郊外に長さ200メートルと50メートルの大型遮蔽(しゃへい)施設を設置する準備を今も進めているという。大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる「火星13・14・15号」や新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3型」などを軍事パレードに登場させるためだろう。マーク・ナッパー駐韓米国大使代理が「五輪精神を汚すものであり国際社会への正面からの挑戦」と批判したのもそのためだ。

北朝鮮は何かを実行に移す際、その政治的な効果が最大限に高まる日をあえて選ぶ。例えば弾道ミサイル発射を3回米国の独立記念日に合わせて強行した。またオバマ前政権発足直後には2回目の核実験、中国の習近平・国家主席就任直後に3回目の核実験、北京での一帯一路フォーラム開会式に合わせて弾道ミサイル発射、北京での新興5カ国(BRICS)首脳会議の開会式当日に6回目の核実験、そして中国広州での20カ国・地域(G20)首脳会議の際にも弾道ミサイルを発射している。

今回北朝鮮が平昌オリンピック開会式前日に大規模軍事パレードを行う理由は、韓半島(朝鮮半島)に世界の注目が集まるチャンスを利用したいからだ。オリンピックの開催どころか住民に食料さえ十分に与えられない政治体制を持つ北朝鮮が、平昌オリンピックを利用して「韓半島の主人は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長である」と宣伝したいのだろう。

このような北朝鮮の考え方を当然理解している韓国政府が「北朝鮮の軍事パレードと平昌オリンピックが重なったのは偶然」と必死で取り繕っているのだ。

今韓半島では言論の自由を抹殺した北朝鮮が韓国における言論の自由を叱責(しっせき)するという考えられない事態が起こっている。北朝鮮は「玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏の笑顔や発言の様子を報道するな」「南北会談の取材はするな」などと要求しているが、これを受けて韓国政府は「玄松月氏が困っている」としてメディアに取材させなかった。

北朝鮮のおかしな行動は韓国メディアに責任があるかのような口ぶりだ。女子アイスホッケーの南北合同チームやオリンピック開会式で韓半島旗を持って行う合同入場行進もそうだ。これらはいずれも北朝鮮が言い出す前に韓国政府の側から先に提案した。

また韓国政府は韓米合同軍事演習については自ら延期したが、北朝鮮の軍事パレードについては延期の要求さえしなかった。このように韓国政府はこれまで北朝鮮のご機嫌取りに力を入れてきたが、今度は「北朝鮮の軍事パレードの日程は偶然」と主張することで、もはや北朝鮮の言い分を自ら代弁する立場にまで成り下がってしまった。


2018/01/29 09:38
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