韓国の中学生・高校生が2020年から学ぶ「歴史教科書執筆基準」の試案で、「自由民主主義」が「民主主義」に書き換えられたことが確認された。

今月1日に与党「共に民主党」が、憲法第4条に定められた「自由民主的基本秩序」を「民主的基本秩序」に変える改憲案を発表してからわずか4時間で撤回(2日付本紙既報)したのに続いて、韓国政府の歴史教科書執筆基準をめぐっても論争が予想される。

教育部(省に相当)は昨年8月から、韓国教育課程評価院を通して新たな検定歴史教科書執筆基準の整備を行っている。今年上半期中に確定するこの執筆基準は、各出版社が出す教科書の「検定基準」に当たり、これに背くと教科書の発行が制限される。

同院は先月、3回にわたって公聴会を開き、「自由民主主義」の用語を全て「民主主義」に変えた執筆基準試案を提示した。

例えば近現代史の部分には「(民主主義を求めて1987年6月に発生した)6月民主抗争以降、(中略)民主主義が発展する過程について把握する」(高校現代史)、「韓国の民主主義の発展過程を理解する」(中学校歴史)と記された。

「1960年代以降の自由民主主義の発展と経済成長の過程を理解し…」と明示していた現行の執筆基準から、「自由」を削除したのだ。同院の試案には「自由民主主義」という用語は全くない。

執筆基準は、政権交代に伴って変化してきた。執筆基準を最初に作った盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権では「民主主義」だったが、李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2011年に「自由民主主義」に変更された。

国定歴史教科書を推し進めた朴槿恵(パク・クンへ)政権時代は「自由民主主義」を維持したが、今回の政権が再び「民主主義」に変えようとしているのだ。

研究責任者を務める同院のシン・ハンス評価委員は「憲法の基本原理が自由民主主義なのかどうかについては、憲法学者の間でも論争があるという点を考慮し、『民主主義』と包括的に表記することにした」と語った。

しかし「政府が憲法的価値を損なっている」という反発が出ている。朴仁鉉(パク・インヒョン)大邱教育大学教授は「韓国は、個人の自由と権利を擁護する自由民主主義と市場経済という基盤の上に建てられた。憲法に明示された『自由』を外したら、まるで社会民主主義や北朝鮮の人民民主主義などのように解釈される余地がある」と語った。

全国学父母教育市民団体連合なども「左派寄りの歴史教科書執筆基準を作っている」として抗議した。


2018/02/03 09:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/03/2018020300373.html