147 名前: つづきぢゃ 投稿日: 2000/06/07(水) 23:46

なにやらに追い銭ぢゃと言いおる口の悪いものもおったが、餞別代
りとみな思っておったわ。

奔走した日本人も、なかなかかなわぬことと思っておったことが実
現しての、喜んで見送っておったのぢゃ。

さて、鮮人が喜んで北鮮に渡っていくのを見て、大方の日本人はこ
れで日本に不満の鮮人の件はすっかり片がついたと思っておったの
ぢゃがの。なんの、そうはいかなんだ。

結局、この帰国船というのは尻すぼみでの、10万人に少しかける
くらいの鮮人が渡ったところで、もうだれも行こうとしなくなって
しまったのぢゃ。

日本人にしてみれば、不思議での、なんであれほど望んでおった北
鮮への帰国をせんのぢゃろうとな。無邪気に「いつ帰国するのか」
と知り合いの鮮人にたずねた日本人も多かったのぢゃよ。

聞かれた鮮人も返答に困っての「祖国が統一するまで帰れません」
などと苦し紛れに言っておったの。

なんの、先に行った連中からのうわさが伝わってくれば「地上の楽
園」どころか「この世の地獄」というのが本当のところぢゃて、行
くに行けんというのが本音ぢゃ。

本心では、これはもう日本に住むしかないと観念しておってもな、
こんな国に住めるか、北鮮は楽園ぢゃとは自分達から言い出したこ
とでの、建前ではいずれ帰国すると言いつづけ、表向きは北鮮が地
上の楽園ぢゃとな、ずっとごまかしつづけたのぢゃよ。