http://www.sankei.com/smp/world/news/180216/wor1802160031-s1.html

2018.2.16 20:28

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、中国の国営テレビ、中国中央テレビ(CCTV)を通じ、春節(旧正月、今年は2月16日)を前に、中国国民に向けて「新年のあいさつ」をした。笑顔で話しかけた文氏だが、中国側からも、国内からも冷ややかな反応しか得られていないようだ。

 文氏のあいさつは15日朝のニュース番組「朝聞天下」で放送された。青い民族衣装に身を包んだ文氏は、「大家好(みなさん、こんにちは)」と中国語で切り出し、「いま平昌冬季五輪が開催中で、中国選手の善戦に喜んでいることでしょう。2022年北京冬季五輪も成功すると信じている。多くの韓国国民も訪れて力になるはず」とアピールした。

 しかし、今大会の中国選手団は、フィギュアスケート・ペアなど一部を除いて精彩を欠く。手にしたメダルは16日午後7時の時点で銀メダル2個だけ。金2、銅1の韓国はもちろん、すでに計7個のメダルを獲得した日本にも、大きく水をあけられている。

 中国選手団の副団長を務める国家体育総局の高志丹副局長は、7日の選手村入村式で「中国の冬季競技の基礎は弱い。今回の目標は主に経験を学び取ることだ」と予防線を張った。「善戦」とはほど遠いのが現実だ。

 韓国大統領府は「CCTVの要請で友好的な韓中関係を想起させるため出演した」というが、CCTV(電子版)のトップページには文氏があいさつをしたことを知らせる見出しはなし。マクロン仏大統領やメルケル独首相、グテレス国連事務総長、バッハIOC委員長ら世界の要人と十把一絡げにされていた。

 韓国国内の反応も冷たい。韓国のハンギョレ新聞(電子版)の掲示板には、こんな罵(ののし)りの言葉が…。

 「旧正月(今年は16日)はブタのおやじ(金正恩朝鮮労働党委員長の父、金正日総書記)の誕生日だ。北側を見て深々とお辞儀をして、金与正たちの正月料理でも準備してやれよ」

 「顔を見るのもゾッとする。むしろ何もしないで、大統領面だけしていてくれれたらいいのにな〜」

 「手を付けたところから全部めちゃくちゃになる。最悪の失業率に不動産価格の崩壊。北朝鮮や米国との関係を全部むちゃくちゃにしてさー。まぁ、これも才能だわな」

 韓国国民は、自国の大統領が昨年12月、国賓として訪問した中国で“冷遇”“非礼”“侮辱”の限りを尽くされたことを忘れていないようだ。

 国内で「屈辱外交」と呼ばれた訪中を、文氏は「北京と重慶で中国国民から受けた友誼を大切にしている。韓国国民も中国と心を交わして友情を深めようとしている」と振り返っており、反中意識を強める国民とのすれ違いが目立っている。(五輪速報班)