韓国に対する通商圧力を主導するロス米商務長官(80)は、トランプ大統領と20年以上にわたる親交がある。ウォール街の投資専門家として活動しながら、経営難の企業を買収し、再建後に売却する投資手法で優れた才能を発揮し、「破産の帝王」とも呼ばれる。ロス商務長官は表に現れずに静かに動く「隠忍自重型」の人物だ。

豪華なパーティーを好むトランプ大統領とは合いそうもないが、実際にはトランプ大統領が最も夕食を共にし、最も信頼する経済専門家だと米メディアは評する。2人の縁は1980年代にロス氏がトランプ氏が保有していたニュージャージー州のカジノの倒産回避を支援したのがきっかけだという。

今年1月の米上院の指名承認公聴会で「関税は交渉の道具であり、ルールを守らない相手を懲罰する手段だ」と述べ、関税を利用した貿易報復方針を表明した。特に中国については、「保護貿易傾向が最も強い国だ」「米国の課税は低いが、中国は高い関税を維持している」などと述べ、真っ向から対処する意向を示した。

一方、ロス商務長官の就任が決まり、日本は歓呼した。ロス商務長官はニューヨークにある日本の対米交流団体である「ジャパン・ソサエティー」の会長を2010年から務めるなど、ウォール街を代表する知日派だからだ。ジャパン・ソサエティーでは05年から理事として活躍した。

日本はロス氏の就任以前から関係を構築してきた。安倍晋三首相は米国で大統領選の選挙戦がピークを迎えていた16年9月、国連総会に出席するため訪米。トランプ氏の経済顧問だったロス会長と単独会談した。当時はトランプ氏が当選する可能性は非常に低いと言われていた状況だった。

ロス商務長官は韓国とも縁が深い。金大中(キム・デジュン)政権から表彰も受けている。韓国が通貨危機に見舞われた1997年にロスチャイルド構造調整ファンドの社長だったロス氏は米国で調達した10億ドルを漢拏グループに投入すると表明し、ドル資金が払底した韓国政府から「国難克服の功臣」として注目を浴びた。

韓国はそんなロス氏との縁を十分に活用できなかった。昨年6月に文在寅(ムン・ジェイン)大統領がワシントンでトランプ大統領との夕食会に臨んだ際、ロス商務長官やコーン国家経済会議委員長らが出席したが、韓国政府からは大統領府(青瓦台)の張夏成(チャン・ハソン)政策室長、金顕哲(キム・ヒョンチョル)経済補佐官が出席しただけで、経済分野の閣僚の姿はなかった。

朴槿恵(パク・クンヘ)政権末期の昨年3月には、周亨煥 (チュ・ヒョンファン)前産業通商資源部長官が訪米し、ロス商務長官と会談している。


2018/02/21 14:27
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