2018年3月26日 9時29分
朝鮮日報

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は25日にアラブ首長国連邦(UAE)の皇太子と会談し、2009年に韓国がUAEから原発建設を受注したことをきっかけに結ばれた「戦略的同伴者関係」を将来「特別戦略的同伴者関係」に格上げすることで合意した。両国は1980年に国交を結んだが、その関係が実質的に発展したのは2006年に当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がUAEを訪問した時からだった。李明博(イ・ミョンバク)政権では原発受注や韓国軍の派兵なども実現し、UAEは今や韓国にとって中東では唯一の戦略的同伴者関係を結んだ国になった。経済的にも昨年の貿易総額が149億ドル(現在のレートで約1兆6000億円、以下同じ)を記録し、中東では韓国の輸出総額1位のいわばハブ国家となっている。

 その両国関係が韓国で今の政権が発足したことをきっかけにギクシャクし始めた。先日はイム・ジョンソク大統領秘書室長が急きょ現地に派遣されたが、その理由は今も明らかにされていない。前政権で締結した非公開の軍事協約を今の政府がいわゆる「積弊清算」を理由に見直そうとしたところ、UAEから反発を受けたと伝えられている。文大統領は皇太子との会談で「先日は雑音が起こりかけたが、両国関係に一切問題はない。今ではかえって国防分野での協力を一層強化できるようになった」と発言した。関係がギクシャクした原因が軍事分野にあったことを文大統領自ら初めて認めた一方、現状では全て解決したことにしたかったのだろう。しかし本当に問題は全て解決したのだろうか。両国関係発展の画期的なきっかけが現地のバラカ原発建設だったことを考えれば、この疑問はなお一層深まる。

 UAEは世界第7位の原油埋蔵量を誇るが、国の将来を考えて原発建設を決め、その際フランスと伝統的に深いつながりがあったにもかかわらず韓国を選択した。本来の契約通り4基の原発が全て完成すれば、UAEにおける発電量全体の25%が韓国の建設した原発によって賄われることになる。これほど重要な事業をそれまで原発輸出をしたことがない韓国に委ねたことは、UAEにとっても非常に重い決断だったはずだ。

 ところが文大統領は就任直後、国内にある古里1号機原発の工事を中断させ「原発は安全でもないし経済的でもない。また環境にも優しくない」「国の原子力政策を全面的に見直す」などと述べた。UAEとしては青天のへきれきだっただろう。文大統領は今回もUAEメディアとのインタビューで「バラカ原発は両国関係においてまさにバラカ(神の祝福)の役割を果たしている」と述べた。同じ原発をめぐって違うことを言っているようでは、相手から信頼など得られないだろう。

 現地ではバラカ原発1号機で核燃料の充填(じゅうてん)に必要な全ての工程が終わり、文大統領は今日その記念式典に出席する。文大統領は今回のUAE訪問を通じ、原発に対する自らの考えをぜひとも見直してほしい。原発は韓国におけるエネルギー輸入全体のわずか0.5%だが、その発電量は30%に達している。韓国が奇跡の経済発展を成し遂げたまさに原動力だ。文大統領は現地で展開する韓国軍アーク部隊を明日訪問する予定だが、これによって一時揺らいだ両国の軍事協力も改めて正してほしい。

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