【社説】所得統計を都合よくねじ曲げた韓国大統領府
記事入力 : 2018/06/04 10:32

 韓国大統領府(青瓦台)の経済首席秘書官が「最低賃金引き上げはプラス効果が90%あった」とする文在寅(ムン・ジェイン)大統領の発言の根拠として示した資料は、統計庁の統計を都合よく寄せ集めたものにすぎなかった。全国8000世帯を対象に統計庁が世帯単位で調べたデータから勤労者部分だけを抜き出し、個人当たりに換算した統計を示したのだ。その結果、急激な最低賃金引き上げで雇用市場から押し出された人々が統計から抜け落ちた。それで「下位40%の世帯は勤労所得が減少した」という統計庁とは異なり、「下位10%の勤労者のみ勤労所得が減少した」という青瓦台版の統計がつくられた。大統領は逆の言い方をして、「プラス効果が90%」と発言したのだ。

 最低賃金引き上げの影響を判断する上で、最も仕事から追われた人々を除いた統計を引用するというのは話にならない。今年1−3月には最低賃金に敏感な卸小売業、飲食・宿泊業で雇用が7万人分減少し、臨時職・日雇いは46万人分減少した。これらの人々を除き、雇用を守った人だけを抜き出し、「最低賃金引き上げで勤労所得が増えた」と言うのはとんでもない。歴代政権で無理な主張がなかったことはないが、これほどとんでもない強弁は初めて見た。政権に人気があるからといって、国民に目隠しをし、経済の現実を歪曲(わいきょく)する統計を作成して構わないとでも考えているのか。この統計は統計庁ではなく、労働、福祉分野の国策シンクタンク2カ所が作成したという。統計は作成目的、方式通りに活用すべきで、勝手にねじ曲げてはならないというのは常識だ。大統領がそうした報告と統計に基づき、国政を運営すれば、深刻な結果につながりかねない。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/06/04/2018060401144.html

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http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/06/04/2018060401141.html