文玉珠の証言

平林久枝編 強制連行と従軍慰安婦
P.181〜182
 4 原告 文玉珠
当時は仕事があまりなく、失業をしていたのである。そんな時に、文玉珠は少し顔を知っていた男から
「ちょっと遠いところだが、食堂で働けばお金が儲かる」という話を聞かされた。
その男は大邱に住んでいる朝鮮人だが、洋服を着てネクタイをして靴を履いていた。その男の姓は宋(ソン)で、日本名は松本と言った。
 どこへ行くのか聞いたら、はっきりとは教えてくれなかったが、「暖かい国だ」と言ったので、外国に行くのだと思った。
松本は「故郷に金を送ったら家族が楽に暮らせる」というので、文玉珠は生活が苦しいので、やむなく行くことにした。

文玉珠の手記
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P63 私達慰安婦も一円ずつ出し合って大宴会をしたのだった。
P75 千円あれば故郷に大きな家が一軒買える。私は母に少しは楽をさせてあげられる。
P106 週に一度か二度、外出する事が出来た。人力車に乗って買い物に行くのが楽しみだった。私はダイヤモンドを買った。
P107 映画や内地から来た歌舞伎を見に行く事もあった。
P115 帰国の許可がおりたのなら帰らなければならなくなっていた。それは命令だった。帰りたくないなら逃げるしか方法はなかったのだ。

(サイゴンにて)

P121 わに革のハンドバックとハイヒールに緑のレインコート。こんなオシャレな格好でサイゴンを闊歩した。
誰が見たって私を慰安婦とは思わなかっただろう。今も思い出しては得意になってしまう。

(ラングーンにて)

P137 貯金からおろして5000円を母に送金した。
日本の軍人が貯金があるなら全部送っておいた方が良いと言ったが、6000円程度を残しておいた。