■「解決済み」なのに賠償払え!?徴用工裁判が動いた
■激震に見舞われた韓国最高裁は「反日革新派判事」だらけ
■日本は「国民情緒法」判決への備えを

今年も韓国に「反日の夏」がやってきました。

8月14日は「慰安婦の日」。そして日本にとって終戦記念日である8月15日は、韓国にとっては日本の植民地支配が終わった記念日「光復節」です。韓国政府や元慰安婦の支援団体などによる式典やシンポジウムが目白押しで、韓国に住む日本人にとっては、猛暑の辛さに加えて、心情的にも居心地が悪い2日間になりそうです。

日韓の連携が必須である北朝鮮の核問題もある中、つかず離れずの日韓関係。「最終的かつ不可逆的に解決」したはずの慰安婦問題でもゴタゴタが続いていますが、この夏、両国の間に突き刺さったもう一つの“とげ”にも不穏な動きが出てきました。

それは、徴用工問題です。

■徴用工問題とは?

徴用工とは、日中戦争当時の1938年に制定された国家総動員法を元に、工場や炭鉱に動員された民間人の事。当初朝鮮半島に住む人たちは対象外でしたが、アメリカとの戦況が悪化した1944年9月以降は、本土の日本人と同様、朝鮮半島に住んでいた人たちも労働に駆り出されたのです。

戦後、この元徴用工への補償問題は、日韓国交正常化に向けて越えなければいけない大きなハードルの1つとなっていました。両国は14年間に及ぶ紆余曲折の交渉を経て、1965年の日韓基本条約で国交正常化しますが、その際、問題解決のために日韓請求権協定を結びました。その協定の第2条1項がポイントになります。概要は以下の通り。

「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなる事を確認する」

平たく言えば、日本の植民地支配によって損害を被った韓国人や会社への補償は、日本や日本の企業ではなく、国交正常化の際に日本政府が支払った5億ドル(有償・無償合わせて)という巨額の資金を受け取った韓国政府が行うという事で、両国が国際的な約束をしたということです。

これで文字通り完全解決!!!していたら良かったのですが、そうはいきませんでした…

■舞台は日本から韓国の裁判所へ…

韓国政府は日本から受け取った5億ドルの大半を工場建設やインフラ整備など経済政策につぎ込む一方、「補償は韓国政府に請求しなさい」とは韓国国民に積極的に伝えませんでした。それもあってか、韓国人元徴用工は、日本の裁判所で、日本政府や日本企業を相手に補償を求める裁判を起こします。しかし、当然日本の裁判所は「日韓請求権協定で解決済み」と判断。元徴用工は完全敗訴しました。

それでも諦めきれない元徴用工は、今度は韓国の裁判所で、日本企業を相手取り、補償を求める裁判を起こしました。しかし、連戦連敗…さすがに「完全かつ最終的に解決」したと日本と約束しているのに、日本企業に補償を命じる裁判所は無かったのですが、2012年5月、韓国の最高裁(=大法院)が全てをひっくり返す判決を下しました。

「日本の国家権力が関与した反人道的不法行為や植民支配と直結した不法行為による損害賠償請求権は請求権協定により解決されたものと解することはできない」

つまり、日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」したはずの補償を請求する権利が、元徴用工については「ある」と判断。元徴用工側の敗訴とした高裁判決を破棄して、高裁に差し戻したのです。差し戻された2度目の高裁判決では、元徴用工が勝訴し、被告の三菱重工業に元徴用工1人当り8000万ウォン(約800万円)の支払いを命じます。当然三菱重工は2013年、最高裁に上告しました。

この衝撃的な最高裁判決を受けて以降、合わせて15件ある同様の裁判で元徴用工側が次々に勝訴。そのうち3件は最高裁に上告されていて、すぐに確定判決が出ると思われたのですが、裁判はそこからおよそ5年間、塩漬けになります。

未だに、確定判決が出ていないのです。

(FNNソウル支局長 渡邊康弘) 2018年8月14日 火曜 午前6:30
https://www.fnn.jp/posts/00349520HDK

>>続きます。