ソウルからヨボセヨ 漢字復活の悲喜
2014.9.20 07:30 [外信コラム]
 昔の韓国は街の看板には規制が厳しくて、英語禁止の時代があった。解禁は1990年代以降だったか、
その結果、今や英語だらけだ。ハングル自慢をはじめ日頃の「わが国最高」という愛国キャンペーンはいったいどうなっているの、と嫌みをいいたいほどだ。
 そんな中で珍しくソウル都心の高層ビル街に漢字で「清進商店街」と書いたアーケードが登場し目を引いている。光化門広場近くの鍾路の大通りに面した再開発地域だ。
以前は古い路地街で、昔のソウルの面影を残したその風情がよかったが最近、高層ビル街に様変わりしてしまった。
 「清進商店街」の漢字はその罪滅ぼし(?)かもしれないが、英語全盛時代に漢字とはどうやら中国人観光客などを意識したもう一つの国際化らしい。高層ビル街での漢字復活は逆にエキゾチックでさえある。
 ちなみにこれまで漢字の看板というと中華料理屋しかなかったが、近年は行政当局がソウルの地名標示などに漢字を付けている。ところがこれが現在の中国の簡体字だから困る。
 中国人も日本人も分かる「駅」でいいのに「站」だし、ソウルの「首●(爾)」も落ち着かない。中国人記者も昔の「漢城」や「京城」の方が首都らしいのにと首をかしげていた。その意味では「清進商店街」は伝統風で好ましい。(黒田勝弘)
●=欠の人が小