日米の政府関係者や有識者が国際問題を話し合う「富士山会合」(日本経済研究センター、日本国際問題研究所共催)で28日、ペンス米副大統領の補佐官を務めるトム・ローズ氏が講演した。トランプ米大統領が表明した中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄の理由として「新たに伸びている中国の脅威に対抗」することがあると述べた。

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富士山会合で講演するトム・ローズ米副大統領補佐官(28日午前、東京都港区)

INF廃棄条約は米国と旧ソ連が1987年に署名し、中・短距離ミサイルを全廃することを定めている。ローズ氏は同条約について「異なる時代に作られたものだ。ロシアは(新型の巡航ミサイルシステムの配備などで)違反している」と指摘した。中国が「米グアムを標的にできるとされる中距離ミサイルを拡大している」と懸念し、中国を含めた新たな軍事的な枠組みが必要との考えを示唆した。

経済面でも中国が「国際ルールの秩序に入っているとはいえない」と不満を示した。知的財産の窃盗、不正な貿易慣行、国有企業への多額な補助金で「米国が犠牲になっている」と述べた。

一方でローズ氏は米中関係が「新冷戦」であるというのは「正しい見方ではない」と語った。「冷戦時代の米ソは経済や文化での交流はほとんどなかったが、米中は結びつきが強い」と分析して、「建設的な関係を築きたい」とした。

富士山会合は今回で5回目。27日に都内で始まり、28日午後に閉会する。日米の政府高官や有識者が北朝鮮の非核化や米中貿易戦争について議論した。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37039510Y8A021C1I00000/
日本経済新聞 2018/10/28 12:06