■イギリス王室はバイキングの子孫

英王室が祖と仰ぐウィリアム1世(ノルマンディー公ギョーム2世)のそのまた先祖がロロという
セーヌ沿岸一帯を荒らしまくっていたヴァイキングの親分ですので。

ロロは、西フランク王と和議を結んで臣下となり、ノルマンディー公に封ぜられ、数代経てウィリアムに至るというわけです。

ちなみに、ロロの出自ですが、一説によると、西ノルウェー北部メール地方の首領の家系の出だそうです。
彼、すなわちログンヴァルドの子フロールブは、ノルウェー国内で略奪をはたらいたかどで、ハーラル美髪王によって全土から追放され、
ヘブリディーズ諸島を経て、フランス北岸へ渡ったとされます。
ヴァイキング王すらも手こずらせた、まさに札付きのヴァイキングといえましょう。

【参考文献】
熊野聡 『北の農民ヴァイキング―実力と友情の社会』 平凡社


現在のイギリスは、イングランド王国やスコットランド王国などを中心としたいくつかの王国などが統合されてできています。

中核のイングランド王国は、最初はサクソン人が王でしたが、一時期北欧を支配していたデンマーク王のデーン人にとって変わられます。
そのあと1066年にフランス王の臣下であるノルマンディー公ギョーム2世(ノルマン人)が、サクソン人のハロルド2世を倒してイングランド王に
即位してウィリアム1世となります。

ノルマンディー公とは、フランスのノルマンディー地方の君主です。海を渡ってのイングランド征服が歴史上有名なノルマン・コンクエストと
呼ばれるものです。コンクエストは征服という意味です。

ノルマン・コンクエストのウィリアム1世以降、何らかの血筋がつながって、現在のイギリス王室にたどり着くことができます。
例えば、有名な女王エリザベス1世の後継者のジェームズ1世は、スコットランド女王メアリー1世の息子であり、エリザベス1世の祖父の
ヘンリー7世の娘マーガレット・テューダーの曾孫というようになります。ジェームズ1世からは、どちらかというとスコットランド王国系になります。
またヴィクトリア女王につながるハノーヴァー朝のジョージ1世が王位を継承したのも、彼が前述のジェームズ1世の曾孫であったからです。
複雑なので家系図を見てください。

http://www9.wind.ne.jp/chihiro-t/royal/England/E_index.htm


ノルマン人が、スカンディナヴィアおよびバルト海沿岸に原住した北方系ゲルマン人なので、もっとも初期段階では「ヴァイキング」という概念と
ほぼ同じであるということで、フランス北西部のノルマンディー地方に住み着いたノルマン人であるノルマンディー公ギョーム2世を祖とする
現在の英国王室の起源が海賊だと言われているのでしょう。