PM2.5:ソウル市民「毎日対ガス攻撃訓練を受けている気分」

韓国首都圏のPM2.5濃度上昇、経済活動に影響

 ソウル市冠岳区では4日午前10時現在のPM2.5(微小粒子状物質)の濃度が1平方メートル当たり164マイクログラムを記録した。「非常に深刻」の段階に分類される基準値(75マイクログラム)を大幅に超える数値だ。

 普段は散策を楽しむ人で混み合うソウル市鍾路区の清渓川は人影が疎らだった。漢江公園や広津区の子ども大公園も閑散としていた。繁華街・明洞で露店を経営するJさん(63)は「外気に触れる全ての場所で客足が途絶えたように思う」と話した。

 韓半島(朝鮮半島)を覆ったPM2.5が庶民の生活を一変させている。野外活動が減り、経済にも悪影響が及んでいる。会社員は昼食の約束をキャンセルし、出前を取ったり、ビル内の食堂を利用したりしている。成均館大に通う大学生、パク・ソンミンさん(27)は「PM2.5の状況があまりに深刻で、毎日対ガス攻撃訓練を受けている気分だ」と漏らした。

 本紙が同日取材したソウル市内の露天、従来型市場、屋外のカフェは、PM2.5の影響で来客が普段の30−40%というところが多かった。特に零細自営業者の被害が大きかった。

 ソウル市銅雀区鷺梁津の学習塾前でカップ入り軽食を販売しているハ・ヒョンジュさん(59)によれば、普段ならば店の前に価格3000ウォン(約300円)の軽食を求めて、受験生の列ができる。しかし、同日取材に訪れると、客はたった1人だった。ハさんは「PM2.5の警報が出ると、売り上げが3分の1に減るが、きょうはあまりにひどく、ランチタイムにも客が来ない」と話した。

 京畿道高陽市の幸州山城付近にあるレストランでは、ランチタイムの予約がゼロだった。経営者のキム・スグンさん(62)は「元々3月にはPM2.5のせいで客が減るが、きょうのように客が全く来ないのは初めてだ」と語った。ソウル市広津区でカフェを営むKさんも「自分も働きながらPM2.5を吸うことになるのでつらいが、客が来ないことのほうがつらい」と訴えた。

 記者は広津区の子ども大公園を30分間歩いてみたが、出会った人は10人だけだった。Yさん(50)は「PM2.5のせいで数日家の中にいたが、息苦しくて公園にやってきた。人が全くいなくて、見捨てられた公園のようだ」と話した。

 建設現場や学校も影響を受けている。ソウル市のマンション建設現場は作業開始時間を午前7時から午前9時半に遅らせた。政府がPM2.5非常低減措置を取り、出勤時間に工事を中止したためだ。そして、作業を開始したものの、1時間半後に中断した。現場でPM2.5濃度が200マイクログラムを超えたためだ。建設会社関係者は「掘削や土砂搬出などをしていなくても、PM2.5濃度が上がり続け、正常に作業を行うことが困難だ。工事期限が決まっているのに、会社としても困っている」と述べた。

 仁川市桂陽区の鵲田女子高では、新学期初日の4日、体育の授業を室内に変更した。ソ・ヨンシク教頭は「マスクを着用して運動場で授業を行うこともあるが、きょうは空気があまりに悪いため、オリエンテーションを兼ね、室内授業だけにした」と説明した。首都圏西部の学校の多くは、今週いっぱい体育の授業を室内で行う予定だ。

イ・ゴンチャン記者 , カン・ダウン記者 , ソ・ユグン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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