ソウル首都圏などで大気汚染物質『PM2.5』の濃度が連日上昇し、韓国メディアは「毎日、対ガス攻撃訓練を受けている気分」などと、市民が戒厳令下にあるようだと伝えた。大気汚染の被害は韓国で最も空気がきれいとされる南部の済州島にも及んでいる。

 韓国メディアによると、世界的な大気汚染調査機関『エアビジュアル』の都市別空気質指数で、3月5日に大気汚染度世界第1位はソウル市、2位は仁川市と北朝鮮との国境に近い2大都市が最も深刻な状況を示した。

「PM2.5」といえば中国だが、この深刻な大気汚染物質は中国から飛来したのだろうか。
「韓国環境部(日本の環境省に相当)の趙明来(チョ・ミョンレ)長官が3月11日、『北朝鮮から多く降ってきている。平均では13%程度だ』と述べています。この発言の根拠になっているのが、亜洲大学の研究チームが昨年発表したモデル分析です。それによるとソウル市内の空気の31%は北朝鮮から風に乗って流れ込んだもので、特に粒子状物質が多い冬と春は北西の風が強いため、ソウル圏では北朝鮮の影響を受けざるを得ないとのことです」(ソウル在日本人ジャーナリスト)

慢性的な電力不足の北朝鮮から、なぜそんなに流れ込んで来るのだろうか。
「北朝鮮のエネルギー消費量は韓国の25分の1にすぎませんが、亜洲大学研究チームの論文によると、PM2.5の排出量は年間約28万トン(15年基準)で、韓国の約10万4000トンの2.7倍に達しているのです。対北朝鮮制裁で石油系燃料の輸入が制限されていますから、石炭火力や薪などを多く使用しているためです」(北朝鮮ウオッチャー)

 国連環境計画の資料(12年)によると、北朝鮮では家庭用暖房のため都市部で64.3%が石炭、25.7%が薪などの生物性燃料を使用し、地方では75.3%が生物性燃料を、20.5%が石炭を使用している。しかも市民生活を無視する北朝鮮では、石炭火力発電所の汚染物質除去装置を取り付けていない。
「昨年韓国の環境研究機関などが発表した粒子状物質解決案報告書では、『モンゴル、北朝鮮、ロシアなどの経済が成長するにつれて、近い将来、(中国以外の)別の粒子状物質汚染問題が発生するだろう。特に北朝鮮はエネルギーと環境全般でシステム崩壊による問題が深刻だ』と警鐘を鳴らしていました」(同・ウオッチャー)

 北朝鮮からの厄介者は核・ミサイルだけではないのだ。

https://wjn.jp/sp/article/detail/3931769/
週刊実話 2019年03月17日 22時00分