マスコミの竹島=独島報道、クロスファイア
 多くの人が外務省の「竹島は日本固有の領土」という説を信じて疑わないのは、マ
スコミがこぞってつくりあげたバベルの塔の権威によるものです。その塔の先端が外
務省のパンフレット「竹島問題を理解するための十のポイント」であり、これを批判
した番組はほとんどなかったのです。
 わずかな例外が9月15日にBS朝日で放映された、激論!クロスファイア「竹島問
題、韓国は竹島問題をどう考えているか」です。この番組の出演者は下記のとおりです。
 司会:田原総一郎、村上祐子
 ゲスト:韓国中央日報東京総局長 金玄基、半月城教授
 コメンテーター:朝日新聞論説委員 恵村順一郎
番組では「慰安婦」問題にかなりの時間がさかれましたが、それでも江戸時代の天
保期に幕府が竹島・松島を朝鮮領と考えて絵図を作成したことなどが語られました
(注1)。しかし、明治時代に太政官が竹島・松島を日本の領土外にしたことは説明し
かかったものの、時間の関係で語られませんでした。
 田原総一郎は1877年の太政官指令についてはご存じでしたが、天保の絵図につい
てはご存じなかったです。この絵図が掲載された『朝鮮竹島渡航始末記』は、その文
章のほとんどが、幕府が編纂した対外関係資料集である『通航一覧 続輯』巻之五に
転載されましたが、資料価値が高い幕府史料です。