おまけに、韓国の官営セックスビジネスは、それで終わらなかった。
朝鮮戦争が53年に休戦になると、駐留米軍の基地周辺に、“基地村”が形成され、政府公認の売春婦が集められたのである。

韓国問題に詳しいジャーナリストによれば、

「米軍政下の47年、韓国では公娼制度が廃止されました。とはいっても、基地村は実質的に公娼の復活だった。
米軍相手の売春婦はUN慰安婦、洋マダム、洋公主(ヤンコンジュ)などと呼ばれ、
韓国政府は彼女たちを登録制にし、強制的に性病検査を受けさせていたのです」

そして、“基地村”が本格化するのは、軍事クーデターによって朴正煕政権が樹立されてからだという。

「淪落行為等防止法を61年に制定する一方、特定地域のみ売春行為を容認し、104カ所の“赤線地帯”を設定しました。
そのほとんどが、ソウルや北朝鮮国境に隣接する京畿道の基地村でした。韓国政府からすれば、
北朝鮮に対峙するうえで駐韓米軍は最大の後ろ盾であり、おまけに外貨獲得のための必要不可欠な存在だった。
それゆえ、売春婦を“みなさんは愛国者です”などとおだて上げ、積極的に活用しました」(同)

当時、米軍慰安婦は2万人を数え、稼ぎ出す外貨は年間1000万ドル(現在の価値に換算すると150億円相当)にのぼった。

「70年代に入ると、米軍側は、韓国政府に対して、基地村の環境改善を強硬に要求するようになった。それに伴い、
朴正煕大統領は『基地村浄化委員会』を立ち上げました。浄化とは、主に性病対策のことで、女性たちの徹底検査に乗り出した。
国会で兪議員が公開したのは、その一環として朴正煕大統領が署名した文書だったのです」(同)