就任3年目を迎えた韓国・文在寅政権が正念場を迎えている。仲介役を買って出た米朝首脳会談は決裂に終わり、徴用工問題をはじめ日韓関係は過去最悪レベルのまま改善の兆しが見えない。韓国経済も低迷し支持率は発足当初の80%超から40%台まで“半減”している。

 そんななか、韓国メディアの間で、文大統領に関わる“ある疑い”が囁かれているという。

 5月21日、在韓米軍司令官を大統領府に招いた昼食会で、文氏の発言が騒動を巻き起こした。

「韓米同盟の強固さと両国の緊密な協力は、最近の北朝鮮の“ダンド”ミサイルを含む飛翔体発射への対応でも輝きを放った」

 大統領が「弾道ミサイル」と認めたのか――韓国メディアは大騒ぎとなり、大統領府には「政府の判断が変わったのか」との問い合わせが相次いだ。それもそのはず、韓国はこれまで北朝鮮のミサイルについて「不詳の発射体」あるいは「短距離ミサイル」としか触れてこなかった。「弾道ミサイル」となれば国連決議に違反し、北朝鮮が制裁を受けることになるからだ。

 慌てた大統領府が文氏に確認し、「報道官が大統領に『弾道ミサイルとおっしゃいましたが、それでいいですか』と尋ね、大統領が『私がそんなことを言ったか。短距離ミサイルだ』と答えた」という異例の訂正をした。

 この様子は〈「短距離(ダンゴリ)」を「ダンド」と言い間違えることがあり得るかどうかはさておき、何かコメディーを見ているようだ〉(5月22日付「朝鮮日報」社説)などと呆れた調子で報じられた。

◆イスラム教国で「乾杯」を提案

しかし、“単なる言い間違い”と片付けられない事情が韓国メディアにはある。

「文大統領が海外要人との会合で、言い間違いやおかしな言動をするのは、今に始まったことではない。最近は特に頻発し、一歩間違えば外交問題に発展しかねないようなケースもあった」(在韓ジャーナリスト)

 たとえば、3月にマレーシアを国賓訪問した際には、マハティール首相との首脳会談直後の共同記者会見を、親しみを込めて現地語で始めた。

「スラマッソール! 私と我が代表団を温かく歓待して下さった(中略)国民に心から感謝します」

 ところがこの「スラマッソール」という言葉、マレーシア語ではなくインドネシアで使う挨拶だったために現地で顰蹙を買った。もう間違えまいと思ったのか、その後はマレーシア語で挨拶するようになるも、昼間に夜の挨拶をしたり、夜に昼間の挨拶をするなど会合のたびにミスを重ね、しまいには大統領府が「あってはならないこと。今後、このようなことはないよう万全を期す」と誤りを認めた。

 さらにその後に訪れたブルネイでは、国王主催の晩餐会で文氏が乾杯を提案したことが「厳格なイスラム国家であるブルネイでは非礼ではないか」との指摘を受け、帰国後には「昼間に夜のあいさつ、イスラム教国で乾杯……文在寅外交に批判殺到」(朝鮮日報)と韓国メディアに報じられた。

◆ 「大韓民国」が「大韓米国」に

 外交案件だから細かいミスが大げさに扱われている面もあろうが、近年起きた文氏の奇妙な行動を並べると、さすがに心配になるのもうなずける。

多分続く。

●取材協力/赤石晋一郎(ジャーナリスト)

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NEWSポストセブン 2019.05.30 07:00  (週刊ポスト)