※米中貿易戦争をごにょごにょ・・・(割愛)

トランプと習近平の対決は決して対岸の火事ではない。韓国の立場では米国と中国は安保であれ経済であれどちらかひとつも放棄できない。それでも生半可にどちらか一方の肩を持つのは愚かだ。地政学リスクにだれよりも弱くさらされた国が韓国だ。強大国の求心力に連座することもならず、強大国の遠心力にはねられ捨てられ放棄される状況も避けなければならない。韓国のジレンマ的状況だ。

このところ中国の外交官と知識人は「トランプの任期さえうまく乗り越え、米国との戦争さえないなら時間は中国の味方」という話を流す。中国は毛沢東時代の自力更正スローガンまで叫んで長期戦に備える態勢だ。習近平は米国に対抗してロシアと組み、「中国は世界最大の製造・貿易および外国為替保有国に成長した。中国はどんな危険と挑戦にも対応できるあらゆる必要な条件と能力・自信を持っている」と話した。

突然トランプが「中国手なずけ」にオールインし短期戦で失敗する「不都合なシナリオ」が浮上する。習近平は憲法改正で終身執権の道を開いたが、トランプは再選に成功しても5年後には退く。トランプのような「変則ボクサー」ですら習近平の中国をまともに手なずけることができなければ世の中はどうなるだろうか。米国に第2のトランプが出てくるだろうか。中国は長期戦で勝利して「ブレーキのないベンツ」のように疾走するだろうか。

米中覇権競争を見つめる韓国人の心境は複雑だ。北東アジアの路地で大きくなった体を見せつけたびたび乱暴を働く「荒々しい隣人」を路地の外の「大きな拳」が介入してしつけてくれ教養人にしてくれるよう望む気持ちがある。別の一方ではだれもが自由貿易秩序を守って輸出で生きる韓国経済が順調になることを望む気持ちも切実だ。自由貿易で立ち上がり民主主義を成し遂げた韓国人の立場では、米国には自由貿易を、中国には民主主義を促したい。それでもしばらくは頭脳は機敏に、声は低くし、行動は小さくしなければならない。

米中対立が韓国には危機であり機会であるという分析もあるが、リスク要因が大きいようにみえる。貿易戦争の渦中で1−3月期の成長率はマイナス0.4%に後退し、経常収支も7年ぶりに赤字となった。それなのにいまこの政府は危機に対処する戦略や意志と能力があるのか気になる。外交部を排除したために無視された外交官らは無気力、無能力、無責任になっているという。政界出身の未熟者でなく職業外交官らが再び専門性を生かして精巧な対外メッセージを整えなければならない。

政府高官であれ政治家であれ米国に行って中国の話を公開的にしてはならない。中国に行っても同様だ。対外危機の前では国益を最優先にし党派を超越しなくてはならない。「ひとつの部屋に2人が一緒にいる時、米国人は互いに告訴し、中国人は商売の駆け引きをし、韓国人は互いに争おうとする」という米国のジョークがある。決して笑い流すことではない。

外交対立のため2015年2月に終了した700億ドルの韓日通貨スワップをいまからでも復元し金融危機の防波堤としなければならない。感情から抜け出し冷酷な国際政治の現実を直視することが危機を乗り越える近道だ。


2019年06月10日11時38分 [中央日報/中央日報日本語版]
https://japanese.joins.com/article/269/254269.html?servcode=100&;sectcode=120