【香港=木原雄士】香港で12日午前、多数の学生らが香港立法会(議会)の周辺の道路を占拠し、「逃亡犯条例」改正案の撤回や林鄭月娥・行政長官の辞任を求めて抗議を続けた。香港政府は9日の大規模な抗議デモ後も条例改正を進める方針を変えず、立法会は条例改正案の審議を12日に再開する。民主派は反発を強めている。

立法会の建物周辺には11日夜から若者らが集まり、徹夜で抗議した。主要大学の学生団体がデモに参加するため授業のボイコットを呼びかけたほか、地元商店の臨時休業も相次ぐ。一部の企業では従業員のデモ参加を認めたり自宅勤務を容認したりする動きが広がっている。

条例改正案は香港で拘束した刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡せるようにする内容。中国に批判的な活動家らが容疑をでっち上げられ、移送の対象になりかねないとの懸念が広がっている。

9日のデモ終了後には一部の参加者と警官隊が衝突して負傷者が出た。立法会周辺では11日夜から多くの警察官が警備に当たり、通行人の手荷物を検査するなど物々しい雰囲気に包まれた。

これまで立法会では親中国派と民主派が激しく対立し実質的な審議が進んでいなかったが、通常の委員会質疑を省いて本会議で審議を進める見通し。梁君彦議長は12日から審議を重ね、20日にも採決すると表明した。親中国派が多数を占めるため、採決に付されれば可決される公算が大きい。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45984540S9A610C1EAF000/
日本経済新聞 2019/6/12 8:47 (2019/6/12 10:50更新)

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道路を占拠して抗議する人たち(12日、香港)

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香港立法会の建物を警備する警察官(12日)