「米英のように非医療関係者の施術許可を」

 忠清南道瑞山市で刺青(いれずみ)師をしているキム・ミソさん(32)は一昨年、裁判所から罰金100万ウォン(約9万2000円)を支払うよう言い渡された。その年の夏、店を訪れた20代の男性に刺青を施して150万ウォン(約14万円)を受け取ったが、後に男性が「家の事情で施術費を返してほしい」と言ってきた。キムさんがこれを拒否すると、男性は警察に通報、裁判を経て罰金刑を受けたという。

 韓国の法律では、有料で刺青・タトゥーを施すことは違法だ。医療法では、医師ではない人物が金銭を受け取って「医療行為」をした場合、処罰するよう規定しているが、大法院(最高裁判所)が1992年に刺青の施術行為を医療行為だと判断した判例があるためだ。

 キムさんと同じ刺青師約500人が10日、ソウル・汝矣島の国会議事堂前に集まり、「非医療関係者の刺青施術合法化」を要求するデモを行った。参加者たちは「刺青師を犯罪者扱いする国は韓国しかない」と主張した。

 ほかの国ではどうだろうか。米国では一部の州を除き、各地域の保健所で丸一日「血液媒介の病原体」に関する教育を受け、試験に合格すれば刺青の施術ができる。英国でも公認された機関で教育を受けて試験に合格すれば、刺青の施術資格を取得できる。韓国と同様に非医療関係者の刺青施術を処罰してきた日本でも、昨年11月に「刺青の施術を医療行為と見なすことはできない」という判決が下された。

 大韓刺青師中央会のイム・ボラン代表は「現在、隠れて行われている刺青の施術を専門資格化すれば、保健衛生上、より徹底的に管理できるようになる」と主張した。

 だが、医療関係者たちは反対している。大韓医師協会関係者は「刺青は化学薬品を皮膚内に入れることで色素が細胞の中に永久に残るため、ほかの医療行為よりも危険だ。きちんと消毒されていない器具で施術すれば、エイズや梅毒に感染する危険もある」と語った。

キム・ヨンジュン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/06/11/2019061180050.html
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2019/06/11 19:00