韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は8日、青瓦台(大統領府)で開いた首席秘書官・補佐官会議で、日本による半導体材料の輸出規制強化について、日本政府に対し「撤回と両国間の誠意ある協議を促す」と発言した。日本政府が1日に方針を発表して以来、文氏がこの問題に直接言及するのは初めて。

 文氏は「外交的解決のために落ち着いて努力していく。対応と、それに対する対応の悪循環は、両国双方にとって決して望ましくない」と述べる一方で、「韓国企業に被害が発生した場合、政府としても必要な対応をしないわけにはいかない」とけん制した。また、今回の日本政府による措置を「互恵的な民間企業間の取引を政治的な目的で制限しようとする動き」と批判。「重要なことは政府と経済界が緊密に意思疎通し、協力することだ」として、状況に応じて民間と共に非常対応体制を構築することを検討する必要性にも言及した。

 韓国政府は日本の輸出規制強化を受け、民間から意見聴取するなどして対応を急いでいる。7日には洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相らが主要企業のトップと懇談。文氏自らも10日に主要企業を青瓦台に招いて懇談することを検討している。7日夜にはサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が日本に到着。8日午前から日本の財界関係者と意見交換しているとみられている。

 一方、青瓦台関係者は8日、元徴用工に賠償するよう日本企業に命じた判決について「今までの立場に変わりはない」と述べた。韓国政府は日韓企業が出資する財団が被害者に慰謝料を支払う和解案を提示したが、日本政府は拒否している。輸出規制強化はこの判決に対する事実上の対抗措置とされている。

 輸出規制強化の撤回などを求めた文氏の発言について経済産業省幹部は8日、「韓国側の問題が解消されない限り措置は続ける」と応じない方針を示した。【渋江千春(ソウル)、土屋渓】

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7/8(月) 20:18配信 毎日新聞記事