半導体材料の輸出管理強化をきっかけに悪化している韓国の対日感情が、日本企業の活動にも影響を及ぼし始めた。ビール大手各社は韓国内でのテレビCMの放送を見合わせ、小売業界は販売減に直面。旅行業界では韓国からの訪日客の予約減が目立ちつつある。

 アサヒグループホールディングス(HD)とキリンHD、サッポロHDの大手3社は、7月上旬から韓国内でのテレビCMを中止している。輸出規制強化を契機に韓国ではビールなどの日本製品の不買運動が拡大。サッポロHD広報室は「反日感情を考慮した」と説明し、CM再開のめどは立っていないという。あるメーカーではビール輸出や出荷の計画に影響が出ている。

 2005年に韓国へ進出し、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を180店超展開するファーストリテイリング。岡崎健最高財務責任者(CFO)は「足元で売り上げに影響が出ている」と指摘し、今後の動向を注視すると話した。

 日韓の対立は、拡大を続けてきた訪日旅行者数にも影を落としそうだ。JTBでは16日からの1週間、予約サイトを通じた韓国からのホテル予約数が前週比1割程度減った。韓国の格安航空会社(LCC)が熊本、佐賀、大分路線を減便することも公表された。

 韓国向け輸出規制は8月にも第2弾が実施される公算が大きく、関係修復の兆しは見えない。半導体関連などを中心とする産業界は当面、事態を静観する見通しだが、小売業界からは「訪日客が減ると国内消費が冷え込み、間接的な影響が出るかもしれない」(百貨店大手)と懸念する声も上がっている。

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