自由奔放な知識人、燕巌(ヨンアム)・朴趾源(パク・チウォン)にとって18世紀の朝鮮は息が詰まる中世の監獄だった。彼が今に帰ってきたら、世界第3位の経済大国・日本を「倭奴(ウェノム、日本人の蔑称)」と軽視する21世紀韓国の内面風景に「まだ…」と落胆するだろう。もちろん文明国の尊厳を蹂躙した植民支配に罪悪感を感じない日本極右の退行も辛らつに攻撃しただろう。

ヨンアムは1780年、乾隆帝70才の誕生日祝賀使節団の一員として参加し、書いた見聞録「熱河日記」で清(?)の年号「乾隆」を使った。明は滅びて130余年が過ぎたが朝鮮では健在だった。朝鮮は明最後の皇帝、毅宗の年号「崇禎」を使い、小中華の振舞いをしていた。時代錯誤な虚偽意識だった。

彼は北伐の対象である清を「中国人」でなく、朝鮮が慢性的貧困を打開するために見習わなければならない国と評価した。「熱河日記」という名分と観念に囚われ、生き、うごめく天下の現実を冷遇した朝鮮の覚醒を促した文明批評書であった。しかし、虜号之藁(蛮夷の年号を書いた不穏原稿)として朝鮮が日本によって滅びた後、1911年に活字で発刊された。

日本の経済報復という現実に直面した私たちは先に相手の実体と意図を正確に知らなければならない。日本はよく言えば薬、悪く言えば毒になるからだ。ところが傷と怒りでぎっしり埋まった胸が日本を「倭奴」という虚偽のフレームに閉じ込めてしまう瞬間、全ては五里霧中になる。相手は医師が患者を扱うように私たちを鋭く把握しているではないか。誰の利益になるのかは自明だ。だから生存のためにも、私の心の中から「倭奴」をきれいさっぱり消さなければならない。

日本は米国という鏡に照らしてみる時、はっきり把握できる。米国と戦争もしたが米国の歓心を買うことに精通した国が日本だ。米国は韓日関係を設計し思うままにする国だ。だから米国の心をとらえれば、韓国を簡単に扱うことができる、と日本は信じている。

今、アベの日本とトランプの米国は事実上グルだ。韓国がいくら泣いて訴えても米国は仲裁に出ない。日本より経済力と情報力が不足する私たちは米国の歓心を買うためにどんな努力をしているのか。米国と葛藤したムン・ジョンイン外交安保特報を敏感な時期に駐米大使に起用しようとしたが失敗に終わった事実をどのように受け入れるべきか。トランプが同盟の韓国を殴りながら金正恩(キム・ジョンウン)の肩を持って、北朝鮮も私たちを締め出す現実はどうか。

私たちとは違い、日本は必要なたびに米国を友軍にした。1905年、乙巳保護条約直前の場面を見る必要がある。日本は1904年、「米国化した名誉アーリア人の標本」である金子男爵を派遣してハーバード法大同窓のルーズベルトを丸め込んだ。駐米日本大使はルーズベルトを「日本のチアリーダー」と本国に報告した。世情にうとい高宗(コジョン)は米国にぶらさがったが、日本を育ててロシアを牽制しようとする米国は日本の韓国支配を承認した。
(中略:日本と米国の批判)

「倭奴」「朝鮮人」と呼び合う様な反日、嫌韓の追求は両国の共倒れを呼ぶだけだ。ムン大統領は8・15記念演説で安倍総理に強制徴用被害者問題を対話で解くというメッセージを送らなければならない。10月22日のナルヒト日王即位式にも参加すれば良いだろう。安倍総理も植民支配に対して反省して謝罪した金大中(キム・デジュン)-小渕宣言を受け継ぐといわなければならないだろう。

私たちは100年前の3月1日、独立宣言書で日本を排他的感情で断罪しなかった。東洋平和と世界平和の建設に共に出ようと言った。今、日本は他の国から認められることに渇いている。「倭奴」でなく第二次大戦後、大きく成長した文明国であり経済・安保のパートナーとして待遇すれば問題が解ける。ムン大統領が日本の狭量を許し、大乗的な決断を下すことを望む。

イ・ハキョン主筆
https://pds.joins.com/news/component/htmlphoto_mmdata/201908/12/3b37108e-7dd9-45d9-b0d9-924a26410c57.jpg

ソース:中央日報(韓国語)[イ・ハキョン コラム]私の心の中の‘倭人’が問題だ
https://news.joins.com/article/23549660