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◾︎看板の半導体輸出が不振では・・・

 半導体市況が調整期に入ったことで、この輸出増に歯止めがかかっているのだ。

 造船は長引く不況から脱却できず、自動車産業にはかつての勢いがない。米中通商摩擦の激化で、ただでさえ輸出環境が良くないのだ。

韓国の関税庁は8月12日、8月1〜10日までの輸出速報値をまとめた。輸出額は115億ドルで前年同期比で22.1%減だった。特に半導体輸出はマイナスが止まらず、同34.2%減となってしまった。

 また、相手国別でも、中国向けが同28.3%、日本向けが同32.3%減となった。わずか10日間の速報値だが、ウォン安でも輸出減が止まらないのだ。

 輸出減に加えて、設備投資や建設投資も不振で、韓国経済全体の成長率が2017年の3.2%、2018年の2.7%から2019年には1%台に下落するのではないかとの見方も出ている。


◾︎ 輸出と成長率が鈍化する中でのウォン安

 輸出や成長率が低下する中でウォン安が進むことに産業界の一部では懸念の声が出ている。

「経済のファンダメンタルズからみて、外国資金の流出がさらに一気に進むなどとは考えにくい。だが、株価もじわじわと下がっており、経済の先行きに明るい展望が見えない」との声は少なくない。

 ウォン安が進む中で最近、メディアの関心を集めているのが、ウォンと人民元との連動性だ。

 対ドルレートで、人民元の動きとウォンの動きが連動する傾向がここ数年出ていたが、最近、さらに強まっている。

◾︎ 人民元とウォンとの連動

 最近のウォン安も人民元の動きと歩調を合わせている。韓国紙デスクは次のように話す。

「人民元とウォンが歩調を合わせたような動きをしていることが韓国経済に中長期にどういう影響があるのか、まだはっきりとは言えない」

「韓国の全輸出額に占める中国向け輸出額の比率が25%を超えるなど中国依存度が高まっていることがその原因だろう。ウォンと人民元が同じような動きをするので、短期的には対中輸出にもプラスにはならない」

 米中通商摩擦の出口が見えない中で、ウォンと人民元の連動性が高まっていることは、今後の為替レートの行方を考える際に、不安要素でもある。

 景気後退局面でじわじわと進むウォン安。韓国の産業界は、米中通商摩擦、日韓対立とともに、重大な関心を寄せている。